堤正之

概要

堤正之（つつみ まさゆき）は1903年5月26日に誕生し、1936年6月17日に自ら命を絶った海軍軍人です。海軍兵学校51期の卒業生であり、海軍少佐および華族として知られています。彼の命を終える直前には日本の歴史を大きく揺るがした二・二六事件が発生しました。

人物・来歴

初期の人生と教育

堤の祖父は福井藩士であり、彼自身も幼少期から海軍への憧れを抱いていました。特に彼の郷土の先輩である佐久間勉の殉職は、堤に深い感銘を与える出来事でした。この影響から、堤は潜水艦乗りを志し、1928年に海軍水雷学校高等科を修了しました。その後、彼は潜水艦の航海長としての役割を果たし、第一潜水戦隊の参謀としても活動しました。

自決の背景

堤は海軍大学校の甲種34期に在学中、馬術教官の西竹一から指導を受けていました。西が「近く変な大きなことが起こる」と語った矢先に二・二六事件が勃発します。事件の朝、堤は拳銃を持ち、軍刀や皮脚絆を備えた姿でゲートルを巻いていました。事件発生後、通常通りの授業が行われるなか、堤は学生長の大井に対し高松宮を宮中に参内させるべきだと主張し、その行動において強い意見を持っていました。しかし大井は、現在の状況を理解せずに動くのは間違いだとの意見を示しました。この議論は堤の心に重くのしかかりました。

二・二六事件の判決が下ったのは事件から1カ月後の6月4日ですが、堤はその2週間後に自決を選びました。彼の自決の理由は遺書が残されていないため不明ですが、友人たちの共通の見解として、事件との関係があることは確かとされています。堤の葬儀では、大物右翼からの花輪が贈られ、彼の思想や行動に対するつながりが示唆されています。

家族と血縁

堤正之は、堤正誼を祖父に持ち、父は堤壽です。彼の妻は海軍軍医中将の西勇雄の娘、安藝であり、子息として堤正治がいます。娘には柴田美枝子と長瀬千代子がいます。堤氏の血統はさらにつながりを持っており、多くの孫が彼の名を引き継いでいます。特に、柴田行延は企業の代表取締役を務めており、家族は今もなお影響を与え続けています。

乗艦した潜水艦

堤は以下の潜水艦で航海長を務めました：

• - 伊号第五五潜水艦
• - 伊号第五七潜水艦
• - 呂号第五六潜水艦
• - 伊号第三潜水艦

終わりに

堤正之の人生は、日本の軍事史の中で特異な位置を占めており、彼の自決は当時の社会状況や彼自身の内面を如実に反映しています。堤の意見や行動は、二・二六事件の影響を色濃く受けており、彼の人生を通して見ることで、当時の軍人たちの考えや感じていた葛藤を垣間見ることができるのです。

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