塩原時三郎

塩原時三郎：激動の時代を駆け抜けた官僚・政治家の生涯

塩原時三郎（1896年2月18日 - 1964年10月27日）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の官僚、政治家です。長野県に生まれ、東京帝国大学を卒業後、逓信官僚としてキャリアをスタートさせました。その後、台湾総督府、関東庁、満州国、朝鮮総督府など、様々な地域で要職を歴任し、戦中は通信院総裁、逓信院総裁という要職を務めました。戦後は、弁護士としてA級戦犯の弁護活動も行い、衆議院議員としても活動しました。

生い立ちと学歴

塩原時三郎は、長野県更級郡八幡村（現在の千曲市）で、和田開蔵の長男として誕生しました。その後、山林技師である塩原谷五郎の養子となりました。旧制長野中学校、第八高等学校を経て、1920年（大正9年）7月に東京帝国大学法学部法律学科（独法）を卒業しました。在学中には、国家主義的学生団体である興国同志会（後の国本社）の結成にも参加しています。

官僚としてのキャリア

大学卒業後、塩原は官界に入り、逓信局書記兼逓信属としてキャリアをスタートさせます。その後、東京逓信局兼電気局勤務となり、1921年（大正10年）11月には高等試験行政科試験に合格。貯金局事務官、貯金局賜金課長、内国為替課長、静岡郵便局長、簡易保険局第二原簿課長、司計課長などを歴任し、着実にキャリアを積み重ねていきました。1928年（昭和3年）9月には台湾総督府に移り、交通局副参事、交通局参事、逓信部庶務課長を歴任。その後、静岡県清水市長に就任し、1932年（昭和7年）2月まで務めました。さらに、関東庁に転じ、内務部地方課長、長官官房文書課長兼内務局地方課長、長官秘書官兼秘書課長を歴任。関東庁が在満州国日本大使館関東局に改組された後も、秘書課長、文書課長を兼務するなど、その能力を発揮しました。1935年（昭和10年）3月には、満州国に移り国務院総務庁人事処長に就任、1936年（昭和11年）8月には朝鮮総督府秘書官に転じ、1937年（昭和12年）7月からは朝鮮総督府学務局長心得、そして学務局長として皇民化教育を推進しました。戦時中は、厚生省職業局長、電気庁長官、逓信省電気局長、軍需省電力局長、通信院総裁、逓信院総裁を歴任しました。

戦後の活動と政治家としてのキャリア

1945年（昭和20年）8月の終戦後、塩原は通信院総裁の職を辞任し、同年12月には弁護士登録を行い、極東国際軍事裁判においてA級戦犯容疑者である木村兵太郎の弁護人を務めました。1947年（昭和22年）11月には公職追放の対象となり、1951年（昭和26年）10月に解除。1953年（昭和28年）4月には、静岡県第1区から第26回衆議院議員総選挙に自由党から出馬し、当選を果たしましたが、1955年（昭和30年）2月の第27回衆議院議員総選挙では落選し、1期のみの在任となりました。その後、1962年（昭和37年）2月から1964年（昭和39年）10月まで昭和重工の代表取締役を務めました。

著書・伝記

塩原は、著書として『東條メモ - かくて天皇は救われた』を1952年に発表しています。また、岡崎茂樹によって『時代を作る男塩原時三郎』という伝記が1942年に出版されています。

塩原時三郎は、激動の時代を駆け抜けた官僚、政治家として、その生涯は日本の近代史において重要な位置を占めています。

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