夏季学校

夏季学校（Summer School）

夏季学校とは、一般的には学校などの教育機関が夏期休暇期間中に開催する短期の講習会、学習会、セミナーなどを指します。林間学校、夏期講座、夏期講習などと呼ばれることもあります。

本稿では、明治時代にキリスト教界に大きな影響を与えた、キリスト教青年会 (YMCA) が主催した信徒運動の実践修養会としての夏季学校について記述します。この夏季学校は、キリスト教の学生・青年を対象に、聖書研究、キリスト教・文化講演、祈祷会などを実施し、信徒運動の全国的な連携と協調を目指しました。1912年（大正元年）以前は「夏期学校」とも表記されていました。

歴史

夏季学校は、関東と関西で交互に、毎年夏に開催されました。1899年（明治32年）には、北米YMCA学生事業担当主事のルーサー・ウィシャードが来日し、ジョン・トランブル・スウィフトと共に、アメリカ合衆国ノースフィールドでドワイト・ムーディーが主催していたSummer Schoolを参考に、日本での夏季学校が始まりました。

著名な開催

第1回 (1889年)

1889年（明治22年）6月29日から7月10日にかけて、同志社英学校で「学生聖書研究夏季学校」として初めて開催されました。会長を務めた小崎弘道が「聖書のインスピレーション」と題して講演を行いました。当時、同志社英学校の学生であった露無文治が記録を編集し、「学生之大会」として刊行しました。また、山室軍平がこの夏季学校に参加したことがきっかけで同志社への入学を決意したことは特筆に値します。

第4回 (1892年)

1892年（明治25年）7月16日から26日に箱根で開催され、講演録は『函嶺講話』（警醒社）として出版されました。

第5回 (1893年)

1893年（明治26年）に須磨で開催されました。内村鑑三が『学生と新聞紙』というテーマで講演を行い、横井時雄も新神学に関する講演を行いました。

第6回 (1894年)

1894年（明治27年）に箱根で開催されました。海老名弾正が校長を務め、宮川経輝、本多庸一、小崎弘道らが商議員として参加しました。内村鑑三は『後世への最大遺物』と題する講演を行い、坂本直寛も『雑感』『キリスト信徒の幸福』というテーマで講演を行いました。その他、大島正健、元良勇次郎、植村正久、松村介石、浅田栄次、小西増太郎、大西祝、村井知至、巌本善治らが講師を務めました。内村鑑三の講演は1897年（明治30年）に出版され、ベストセラーとなりました。久留島武彦、和田英作、福田徳三、河辺貞吉、勝俣銓吉郎、柏井園、田川大吉郎らも参加し、この時に「日本キリスト教夏季学校規約」が制定されました。

その後

第8回 (1896年)：興津で開催。
第10回 (1898年)：葉山で開催。経営を日本学生基督教青年会同盟 (YMCA) に委任することが決定。
第11回 (1899年)：日本YMCA同盟が主催。
第25回 (1912年)：夏季学校常設館である東山荘を御殿場に建設。名称を「夏季学校」に統一。
第42回 (1932年)：SCM（学生キリスト教運動）事件により途中で閉校。
第74回 (1965年)：東山荘で開催。主題は「大学に生きる」。
第75回 (1966年)：東山荘で開催。主題は「福音による現代の再建〜交わりの回復を求めて〜」。
第76回 (1967年)：東山荘で開催。主題は「我々にとってキリストとは何か」。
* 第77回 (1968年)：学生紛争の影響で内容が変更。以降はYMCA『学生夏期ゼミナール』として学生向けの修養会が毎年開催されています。

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