夏見

夏見（なつみ）、夏見台（なつみだい）、夏見町（なつみちょう）

千葉県船橋市に位置する夏見、夏見台、夏見町は、それぞれ異なる歴史と特徴を持つ地域です。本稿では、これらの地域について、詳細に解説します。

概要

夏見: 船橋市内に存在する行政地名で、夏見一丁目から夏見七丁目まであります。郵便番号は273-0865です。
夏見台: 夏見の北に位置し、夏見台一丁目から夏見台六丁目まであります。郵便番号は273-0866です。
夏見町: 住居表示が未実施の地区で、現在は二丁目のみが残っています。郵便番号は273-0867です。

由来と歴史

夏見の地名は、平安時代の保延4年（1138年）に伊勢神宮の荘園「夏見御厨」として記録されたのが始まりとされています。室町時代には伊勢神宮の管理下を離れ、江戸時代には東夏見村と西夏見村に分かれ、それぞれ異なる旗本の知行地となりました。

1889年（明治22年）の町村制施行により、両夏見村は八栄村の大字となりました。1937年（昭和12年）には、八栄村が船橋町、葛飾町、法典村、塚田村と合併して船橋市となり、1940年には市内の大字が廃止され、東夏見・西夏見の区域は夏見町1・2丁目となりました。

1971年（昭和46年）の住居表示整備により、夏見1～7丁目と夏見台1丁目が成立し、1987年（昭和62年）には夏見台2～6丁目が成立しました。一部地区は住居表示が未実施のまま、夏見町2丁目として残っています。

地名の由来については諸説あります。

日本武尊が東夷征伐の際に当地で神鏡の輝く船を見たという説
景行天皇が行幸した際に、菜摘みをしていた里人が都の言葉を理解できず「なつみ」と答えたという説
かつてこの地が海の前面にあった時代に「南津海」と呼ばれていたのが縮まったという説
磯菜を摘み、神に捧げたという説
「肴つ霊」（魚や野菜などの副食物の神）から来たという説
古代に伊賀国夏見郷から移住した人々が開いたという説
古語で泥を意味する「ナヅミ」から来たという説
「ナヅ（撫）」と「ミ」の転で「崩壊地形・浸食地形」を意味するという説

これらの説のうち、1～3はあくまでも伝説であり、4・5は可能性はあるものの決め手に欠けます。6は考古学的な証明が必要な仮説です。7・8の説が最も有力と考えられています。

地価

2015年1月1日の公示地価によれば、住宅地の地価は、夏見4-2-15の地点で18万3000円/m2、夏見台2-8-26の地点で17万7000円/m2となっています。

地形と状況

夏見地域は、海老川とその支流である長津川の間に位置し、低地、斜面、台地で構成されています。低地と台地はそれぞれ平坦で、その間に急な斜面があります。台地は南北に細長く、南部に比べて北部では幅が狭くなっています。東側と西側の低地は谷津地形となっています。

都市化以前は、南向き斜面下に農家が並び、台地上には農家が点在する農村風景でした。現在では、東側の低地を除いて住宅地化が進んでいます。台地上には夏見台団地があります。斜面部分は、かつては斜面林でしたが、西向き斜面は住宅地や道路に変わっています。南向きと東向き斜面は、夏見緑地として保全されています。

鉄道の駅は地域内にありませんが、バス路線が船橋駅と地域を結んでいます。県道288号線が主要道路であり、船橋新京成バスが頻繁に運行しています。

東葉高速鉄道が南部を通過していますが、駅はありません。かつて新駅の建設計画がありましたが、地主の反対により実現しませんでした。最寄りの駅としては、東武野田線の新船橋駅と塚田駅、東葉高速鉄道の東海神駅がありますが、バス路線や商業施設の多い船橋駅を利用する人が多いです。

行政のビジョン

船橋市の都市マスタープランによると、東葉高速鉄道の飯山満駅と東海神駅の中間に新駅を設置する計画や、海老川夏見調整池の設置計画があります。これらの施設を核として、大規模な区画整理構想も存在し、将来的には市役所などの行政機能を移転する構想もあります。

河川と橋

地域内には、以下の河川が流れています。

海老川（東～南）: 富士見橋、鷹匠橋、八栄橋が架かっています。
長津川（西）
向田川（西～北西）
北谷津川（東）

かつて川沿いは水田でしたが、現在ではそのほとんどが姿を消しています。

各丁目の特徴

夏見1 - 7丁目

1丁目: 南西部、低地
2丁目: 中央部より西寄り、概ね台地
3丁目: 夏見小室線より西、低地と台地
4丁目: 中央部から北部、台地。夏見台住宅地（夏見営団）として宅地化
5丁目: 南東部、低地と台地
6丁目: 北～北東部、概ね台地
7丁目: 北東部、低地

夏見台1 - 6丁目

夏見1～7丁目の北に位置し、台地部分を指すことがあります。
1丁目: 夏見台団地など

夏見町

住居表示未実施地区で、現在は2丁目のみ残存。
田畑が広がり、人口は少ない。

隣接町名

夏見

本町（南西）
市場（南東）
東町（東～南東）
米ヶ崎町（東～北東）
高根町（北東）
夏見町（北東）
夏見台（北）
前貝塚町（北西端）
北本町（西）

夏見台

馬込町（北）
金杉町（北東）
金杉（北東～東）
夏見町（東）
夏見（南）
前貝塚町（南西の一部）
旭町（西）

夏見町

金杉（北）
金杉町（北東）
高根町（東）
夏見（南）
夏見台（西）

世帯数と人口

各地区の世帯数と人口については、情報が古いため省略します。

小・中学校の学区

各地区の小・中学校の学区については、情報が古いため省略します。

施設

夏見

船橋市立船橋中学校 (2丁目)
船橋市夏見消防署 (2丁目)
日枝神社 (2丁目)
夏見公民館 (2丁目)
ケンゴルフガーデン (3丁目)
夏見第一保育園 (4丁目)
夏見台中央公園・北公園・南公園 (4丁目)
船橋市立八栄小学校(5丁目)
船橋ひまわり幼稚園 (5丁目)
薬王寺 (5丁目)
長福寺 (6丁目)
稲荷神社 (6丁目)
東日本高速道路(6丁目)
日本基督教団船橋教会附属シオン幼稚園 (6丁目)
日本基督教団船橋教会 (6丁目)
船橋夏見霊園 (6丁目)

夏見台

夏見台団地（1丁目）
中央老人福祉センター（1丁目）
船橋市立夏見台小学校（2丁目）
夏見台幼稚園（2丁目）
ライオンズガーデン船橋夏見台（2丁目）
千葉鑑定団（3丁目）
長津川調整池公園（3丁目）
JR東日本夏見台社宅（4丁目）
船橋市立夏見第二保育園
船橋市運動公園（6丁目）

夏見町

コンビニエンスストア1軒

夏見ゆかりの著名人

志位和夫（日本共産党委員長）
五十嵐勝（映画『北京的西瓜』のモデル）
石川文洋（報道写真家）
板倉雄一郎（実業家、企業経営コンサルタント、経済評論家）
伊藤淳史（俳優、タレント）

参考文献

「ふるさとの地名」船橋市の地名を探る（船橋市史談会）

脚注

* [1] 新駅建設計画に関する情報源

以上が、夏見、夏見台、夏見町に関する詳細な情報です。

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