多治比国人

多治比国人（たじひ の くにひと）

多治比国人は、奈良時代に生きた貴族であり、歌人としても名を馳せました。彼の官位は従四位下であり、遠江守の役についたことでも知られています。国人の経歴は評価されており、彼の存在は当時の政治や文化において重要な一面を成していました。

経歴の概要

彼の公歴は、天平8年（736年）から始まります。この年、国人は従五位下に叙爵され、その後も天平10年（738年）には民部少輔に任命されました。続く天平18年（746年）には正五位下に昇進し、さらに天平勝宝元年（749年）には正五位上、天平勝宝3年（751年）には従四位下に至りました。このように、彼は聖武天皇の治世から孝謙天皇の初期にかけての時期、橘諸兄の政権下で堅調に出世を果たしました。その間に、播磨守、大宰少弐、右大弁などの重要な役職を務めました。

橘奈良麻呂の乱と流罪

しかし、彼の経歴は順調なものばかりではありませんでした。天平宝字元年（757年）、橘奈良麻呂の乱が発生するとき、国人は遠江守としてその役割を果たしていました。しかし、この乱にかかわる策略が露見し、平城京に召喚されて尋問を受けることとなります。結果として、彼は伊豆国へ流罪となる運命をたどりました。この出来事は、彼の政治キャリアに一大転機をもたらしました。

歌人としての国人

多治比国人はまた、歌人としても知られています。彼の和歌は『万葉集』に4首掲載されており、長歌1首と短歌3首が存在します。国人は和歌を通じて、当時の文化や情緒を表現し続けました。彼の作品は、多くの歌人たちの間で影響を与えたと考えられています。

官歴の詳細

彼の官歴は以下のように記録されています。

• - 天平8年（736年） 正月21日：従五位下
• - 天平10年（738年） 閏7月7日：民部少輔
• - 時期不詳：従五位上
• - 天平18年（746年） 4月22日：正五位下
• - 天平20年（748年） 11月23日：見播磨守
• - 天平勝宝元年（749年） 7月2日：正五位上
• - 天平勝宝2年（750年） 3月12日：大宰少弐
• - 天平勝宝3年（751年） 正月25日：従四位下
• - 天平勝宝5年（753年） 日付不詳：見右大弁
• - 天平勝宝6年（754年） 7月20日：御装束司
• - 天平勝宝8年（756年） 5月3日：御装束司
• - 天平勝宝9年（757年） 6月16日：摂津大夫
• - 日付不詳：遠江守
• - 天平宝字元年（757年） 7月4日：流罪（伊豆国）

国人の人生は、奈良時代の貴族としての栄光と泥沼のような政策の渦中で、激しく変動しました。その生涯は、当時の日本の歴史を物語る一つの縮図でもあると言えるでしょう。

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