夢の外へ

星野源「夢の外へ」：独創性と豪華共演が光る3rdシングル

2012年7月4日、星野源の3作目のシングル「夢の外へ」がSPEEDSTAR RECORDSよりリリースされました。前作「フィルム」から5ヶ月ぶりとなる本作は、発売初週で2.6万枚という、当時としては自身最高の売上を記録するヒットとなりました。

このシングルには、表題曲「夢の外へ」の他に、「パロディ」「彼方」「電波塔（House ver.）」の計4曲が収録されています。さらに、初回限定盤には、約70分に及ぶ特典DVD「夢の外への中へ」が付属。ミュージックビデオ、ライブ映像、そしてレコーディングやミュージックビデオ制作のメイキングドキュメンタリーと、星野源とスタッフ陣によるオーディオコメンタリーが収録され、制作過程を多角的に楽しむことができます。DVDの監督は、星野源の作品で長年映像を手掛けてきた山岸聖太氏が務めています。

個性豊かな楽曲たち

まず、表題曲「夢の外へ」は資生堂「ANESSA」のCMソングとして起用され、大きな注目を集めました。CMで使用されたバージョンは「夢の外へ(CM Ver.)」として一部の音楽配信サービスで着信音として配信されました。また、テレビ新広島『行きたがリーノ』のテーマソングにも選ばれています。星野源自身は、この曲について「狂っていてカッコいいJ-POPを、自分なりにやってみたいっていう。ただ、どれだけ背伸びしても、どこまでバーンと飛んでいても、地面に足が着いてるようにしたかったんですよ。」と語っており、独特のバランス感覚が感じられます。ミュージックビデオは、星野源と初タッグとなる山口保幸監督が手がけ、ダンスカンパニー「イデビアン・クルー」主宰の井手茂太氏が振り付けと出演で参加しています。

「パロディ」は、映画『ぱいかじ南海作戦』の主題歌で、細野晴臣氏へのオマージュとして制作されました。「彼方」は「群馬県のソウルミュージック」をテーマとし、OKAMOTO'Sのハマ・オカモト氏（ベース）、赤い靴の神谷洵平氏（ドラムス）といった豪華ミュージシャンが参加しています。そして「電波塔（House ver.）」は、東京タワーをモチーフにした楽曲で、当初は「ニューヨーク」という仮タイトルで制作されていたというエピソードも残っています。

充実の演奏陣と世界観

「夢の外へ」は、星野源自身の作詞・作曲・編曲に加え、ストリングスアレンジに岡村美央氏と星野源氏、ホーンアレンジに武嶋聡氏と星野源氏が参加。演奏陣も、伊藤大地氏（ドラムス）、伊賀航氏（ベース）、高田漣氏（ペダルスティール）、野村卓史氏（ピアノ）など、実力派ミュージシャンが名を連ねています。ストリングス、ホーンセクションも充実しており、楽曲に深みと奥行きを与えています。

これらの楽曲は、フリーゲーム『ゆめにっき』をモチーフのひとつとするなど、独特の世界観を持つことで知られています。星野源の音楽的探求心と、それを支える豪華なミュージシャン陣の演奏によって、「夢の外へ」は、単なるシングルという枠を超えた、ひとつの作品として完成しています。

2016年には、柴咲コウがカバーアルバム『続こううたう』に「夢の外へ」を収録するなど、現在もなお多くのリスナーに愛され続けている名曲と言えるでしょう。

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