大井宿

中山道 大井宿

大井宿は、中山道46番目の宿場として、美濃国恵那郡大井村（現在の岐阜県恵那市）に位置していました。江戸時代、旅人の中継地として栄え、その賑わいは現代にも語り継がれています。

宿場の構成

大井宿は、江戸側から順に横町、本町、竪町、茶屋町、橋場の5つの町で構成されていました。それぞれの町は6ヶ所の枡形によって区切られ、防犯上の役割も果たしていました。宿場には、本陣や脇本陣、旅籠などが軒を連ね、多くの旅人で賑わいました。

住民の暮らし

大井宿の住民の多くは、農業と商業を兼業していました。宿場には、信州方面からの牛荷物が多く往来し、活気に満ち溢れていました。また、大井宿から槙ヶ根追分を経て、下街道を利用する旅人も多く、交通の要衝でもありました。

岡田善政と大井宿

江戸幕府の旗本で、笠松陣屋で美濃国の幕府領を管理していた岡田善政は、自身の歌集「満足和歌集」に大井宿のことを書き残しています。彼は、正保3年（1646年）に江戸を出発し、真籠の峠を下って美濃の国を見下ろした際、心が安らいだといいます。その夜、大井宿に宿泊した際、かつて父がこの地を預かっていたこと、そして、その頃から親しくしていた宿の主人が今も変わらずにいることに、深い感慨を覚えたと記しています。

大井宿の見どころ

大井宿には、数多くの史跡や見どころが残されています。

上宿石仏群: 道沿いに並ぶ石仏は、旅人の安全を見守っていました。
高札場: 幕府や領主の法令などを掲示する場所でした。
本陣跡: 岐阜県指定史跡となっており、当時の面影を今に伝えています。
中山道ひし屋資料館: 大井村の庄屋を務めた古山家の屋敷で、当時の生活様式を垣間見ることができます。
宿役人の家（林家）: 宿場の運営に関わった役人の屋敷が残されています。
白木番所跡: 宿場を取り締まるための番所の跡です。
中山道広重美術館: 歌川広重の作品を展示する美術館です。
西行硯水公園: 西行法師が訪れたとされる場所で、美しい自然が楽しめます。
中山道明治天皇大井行在所: 明治天皇が立ち寄った旅籠です。

大湫宿までの史跡

大井宿から隣の大湫宿までの道中にも、数々の史跡があります。

西行塚: 西行法師が埋葬されたと伝わる塚です。
槙ヶ根一里塚: 江戸からの一里ごとの距離を示す塚です。
槙ヶ根立場: 旅人が休憩した場所です。
深萱立場跡: 立場の跡が残っています。

下街道との分岐点

大井宿は、名古屋城下へと続く下街道との分岐点でもありました。多くの旅人が、それぞれの目的地を目指してここを通過しました。

アクセス

最寄りの駅は、JR中央本線・明知鉄道明知線の恵那駅です。

参考資料

児玉幸多『中山道を歩く』中公文庫、1988年

外部リンク

恵那市観光協会 中山道　大井宿
岐阜の旅ガイド 中山道　大井宿
赤坂宿散策ガイド

隣接する宿場

中山道：中津川宿 - 大井宿 - 大湫宿

大井宿は、中山道の歴史を今に伝える貴重な場所です。ぜひ一度訪れて、その魅力を体感してみてください。

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