大伴潔足

大伴 潔足（おおとも の きよたり）

大伴潔足は、奈良時代に活躍した著名な公卿で、参議・大伴兄麻呂の子として生まれました。彼の官位は従四位上、参議という高い地位にまで昇進したことから、その政治的影響は広範でした。特に聖武天皇から桓武天皇にかけての時代において、その足跡は地方行政や宗教政策においても顕著に見られます。

経歴の概要

彼の経歴は多岐に渡りますが、特に注目すべきは聖武朝の末期から孝謙朝にかけての活動です。この時期、彼は越前掾という官職にあり、天平感宝元年（749年）には東大寺のための土地選定に重要な役割を果たしました。その後、755年には越前国桑原庄の土地が東大寺に購入される際に、名が見られるなど宗教的にも重要な案件に関与しています。

758年には各地方に派遣された問民苦使として山陰道に赴き、966年には式部少丞となった後、764年に従五位下、礼部少輔に叙任されました。このように大伴潔足は奈良時代の官僚制度の中で着実に昇進していきます。

その後、天平神護3年（767年）には因幡介、神護景雲4年（770年）には因幡守と、因幡国の国司を歴任し、それぞれの行政運営に直面したことで地方政治に精通しました。771年11月には従五位上、さらに正五位下に升進し、772年には治部大輔に任ぜられ、京の官職にも復帰します。

地方行政への関与

同年、地方の政情を調査するために各地に派遣された際には覆損使として山陽道に赴き、776年には正月に正税の検査を行うために東海道へ派遣されるなど、彼は地方行政へも深く関与し続けました。彼の取り組みは、当時の政治状況や地方の問題解決に大きく寄与したとされています。

政治的な昇進

光仁朝に入ると、宝亀11年（780年）には正五位上を得て左兵衛督に叙任され、天応元年（781年）には美濃守を任命されました。このように政治的な活動はさらに広がり、延暦4年（785年）には大蔵卿に任ぜられると同時に、兵部大輔や近衛中将、衛門督などの武官職も数多く歴任しました。

延暦2年（783年）には従四位下、延暦6年（787年）には従四位上に昇進し、790年にはついに参議として公卿に列します。こうした昇進は、彼の政治的手腕と多様な経験がもたらした成果といえるでしょう。

晩年と死

晩年には、島根への副使として派遣されるなど、その活動は一貫していましたが、延暦11年（792年）10月2日には77歳にして亡くなりました。彼の生涯は、日本古代史においても重要な位置を占めており、行政能力の高さと多様な経験は、多くの後進に影響を与えるものでした。

系譜

大伴潔足は父・大伴兄麻呂を持ち、彼の子には大伴和武多麻呂と娘の藤原雄依室がいます。その系譜は、奈良時代の貴族社会における有力な家系を示しています。彼の業績や家系は、後世においても注目され続けることでしょう。

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