大分縣護國神社

大分縣護國神社

大分県大分市の中心部、小高い松栄山の中腹に鎮座する大分縣護國神社。古くから景勝地として知られるこの地は、現在、郷土の英霊を祀る県内唯一の護国神社として、深い歴史と多くの御霊を抱いている。

概要と景観

松栄山の緑豊かな自然に囲まれた境内は、四季折々の美しさを見せる。特に春には、約200本の豊後梅と約500本の桜が咲き誇り、県内有数の花の名所として多くの人々に親しまれている。毎年3月第1日曜日には梅花祭が開催される。また、境内からは大分市街地から臨海工業地帯まで広がる雄大なパノラマを一望でき、その眺望は「私が選ぶおおいた100景」にも選ばれるほどだ。

祭神

大分縣護國神社には、大分県にゆかりのある約4万4千柱に及ぶ戦没者の御霊が主祭神として丁重に祀られている。さらに、国のために職務中に命を落とした殉職警察官や自衛官の御霊も合祀されている。

沿革

大分縣護國神社の創建は明治初期、1875年（明治8年）10月18日に遡る。当時の大分県令・森下景端が、佐賀の乱や台湾出兵、明治維新などで国に尽くした人々を慰霊顕彰するため、松栄山山頂に招魂社として創建したのが始まりである。この地は江戸時代から景勝地として知られ、藩主ゆかりの祠もあった。招魂社は1939年（昭和14年）に制度改正により大分縣護國神社と改称され、内務大臣指定となった。社殿は1943年（昭和18年）に現在の場所へ遷座。終戦後一時「豊霊宮」と称したが、1952年（昭和27年）に元の名称に戻された。昭和天皇・香淳皇后の行幸啓（1966年）や、大分予科練資料館からの収蔵品寄託（2024年）など、歴史を重ねている。

主な祭祀

年間を通じて国家安寧や慰霊のための祭典が執り行われる。主な祭典は以下の通り。
歳旦祭（1月1日）
紀元祭（2月11日）
春季例大祭（4月9日）
みたま祭（8月13日～15日）
秋季例大祭（10月9日）
天長祭（12月23日）

境内施設・見どころ

境内には、国に殉じた人々を偲ぶ施設が点在する。中心に立つ大分県関係戦没者の慰霊塔、周囲の「軍旗の碑」や「鎮魂の碑」。資料館「言霊記念館」には特攻隊員の遺書などが展示される。満蒙開拓青少年義勇軍碑や、西南戦争の陸軍軍人・警察官墓地（佐川官兵衛の墓も含む）もあり、歴史に触れる場所となっている。創建時の招魂社跡地「招魂齋庭」や市街地の絶景が楽しめる展望台も訪れたい。また、年末から春にかけては、九州最大級の大絵馬や、日本一の大きさの「大はま矢」、「大熊手」といった巨大な縁起物が飾られる。2014年には特攻勇士の像も建立された。

交通アクセス

鉄道: JR日豊本線高城駅からタクシー約5分、徒歩約20分。
バス: JR大分駅から大分バス利用、「城東中学校」停留所下車、徒歩約17分。
* 自動車: 大分道・東九州道米良ICから車で約20分。

まとめ

大分縣護國神社は、郷土の英霊を祀る神聖な場所であると同時に、美しい自然景観や壮大な眺望が楽しめる場所でもある。訪れる人々は、歴史に思いを馳せ、平和への願いを新たにすることができる。

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