大友義右

大友義右：波乱の生涯を送った豊後の戦国大名

大友義右（おおとも よしすけ）は、室町時代後期から戦国時代にかけての武将であり、豊後国（現在の大分県）を拠点とした大友氏の17代当主です。文明16年（1484年）に父である大友政親から家督を譲り受けましたが、その治世は決して平穏なものではありませんでした。

父との対立と大内氏への出奔

義右の時代は、家臣団の内部対立が激化していました。特に、大聖院宗心という人物が、義右と父・政親との関係を悪化させるために暗躍していたとされています。宗心の讒言により、義右は次第に父と対立するようになり、ついには大内氏を頼って豊後を離れることになります。

大内氏は、当時、西日本で大きな勢力を持っており、大友氏もその影響下にありました。義右は、母方の従弟にあたる大内義興のもとに身を寄せ、大友家の内紛への介入を期待しました。一時的に父と和解し帰国するも、叔父の日田親胤が肥後国で謀反を起こすと、同じく叔父の親治の尽力により鎮圧しますが、宗心が親胤の謀反は政親の差し金と讒言し、これを親豊が信じたため対立が再燃します。

将軍家との関係と改名

明応2年（1493年）には、将軍職を巡る足利義材・義澄の争いが起こります。義右は大内義興に従い、足利義材を支持しました。義材に臣従を申し出た際、その一字を与えられ「材親」と名乗ります。その後、さらに「義右」と改名し、将軍家との関係を深めようとしました。

田原親宗の侵攻と義右の最期

父・政親との対立は激化の一途をたどり、明応3年（1494年）には、政親に味方する筑後国の武将・田原親宗が府内（現在の大分市）に侵攻するという事態に発展します。しかし、義右はこれを撃退し、田原親宗を敗走させることに成功しました。

しかし、義右の治世は長くは続きませんでした。明応5年（1496年）頃から病に倒れ、同年5月に死去しました。大智寺に葬られたと伝えられていますが、墓は現存していません。死因については病死とされていますが、「父・政親に毒殺された」という噂も流れたと、近衛政家の日記に記されています。

義右の死後、家督は一旦父・政親が引き継ぎ、その後、叔父である親治が継承しました。

偏諱を与えた人物

義右は、多くの家臣に偏諱を与えています。これは、主君と家臣との結びつきを強めるための当時の一般的な慣習でした。以下に、義右から偏諱を受けた主な人物を列挙します。

材親時代

蒲池親久（かまち ちかひさ） - 蒲池繁久の嫡男、鑑久の祖父。
朽網親満（くたみ ちかみつ）
黒木親実（くろき ちかざね）

義右時代

大野右基（おおの すけもと） - 豊後大神氏の庶流、豊後大野氏の第22代当主。
小原右並（おばら すけなみ） - 小原鑑元の父。
黒木右実（くろき すけざね）- 筑後十五城の一つ、黒木氏の当主。初名は康実（やすざね）、のち鑑実（あきざね）に改名。父は親実（ちかざね）。子に鑑隆（あきたか、黒木家永の父または同一人物）がいる。
本庄右述（ほんじょう すけのぶ）- 年寄衆。父は繁栄、子に親栄がいる。
三田井右武（みたい すけたけ）- 右京大輔。明応5年（1496年）に十社大明神に田を寄進し、さらに押方二上神社、柴原神社を再興した活動がみられる。

大友義右は、父との確執、有力大名家との関係、そして家臣団の内部抗争など、多くの困難に直面しながらも、大友家の当主としてその時代を生き抜きました。彼の生涯は、戦国時代の地方大名の苦悩と葛藤を色濃く反映していると言えるでしょう。

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