大塚周一 (撮影技師)

大塚周一：草創期の映画界を支えた撮影技師

大塚周一（おおつか しゅういち、1902年1月7日 - 没年不詳）は、日本の映画黎明期から戦中にかけて活躍した撮影技師です。1918年、16歳で日活關西撮影所に入社し、映画界のキャリアをスタートさせました。当時の撮影所には、宮崎安吉をはじめ、小川真喜多、高橋俊一など、錚々たる技術者が在籍していました。

1923年、牧野省三が日活から独立してマキノ映画製作所を設立すると、大塚もこれに参加。衣笠貞之助監督の『燕の歌』で撮影技師としてクレジットされ、これが記録に残る最初の作品となりました。その後、東亜キネマへの吸収合併を経て、帝国キネマ演芸に移籍。『目明し惣七』などの作品を手がけましたが、同社の内紛により、アシヤ映画製作所、東邦映画製作所でも仕事をしました。

1928年には、マキノを離れた山口俊雄や中根龍太郎の独立プロダクションに参加。同年中にマキノ・プロダクションに再入社し、1929年の牧野省三の死後、新体制下でも撮影部の一員として活躍しました。しかし、1931年、マキノ・プロダクションの資金繰りが悪化すると、根岸東一郎らとともに東京へ移り、河合映画製作社で「大塚秀一」名義で撮影を担当しました。1932年には富国映画社に移籍しますが、同社もすぐに経営難に陥り、閉鎖。以降、大塚は様々な映画会社を転々とすることになります。

1935年、マキノ正博が設立したマキノトーキー製作所に参加し、『遊侠太平記』などを手がけました。しかし、同社も短命に終わり、1937年には解散。第二次世界大戦中は、電通映画社でドキュメンタリー映画の撮影に携わりました。戦後の消息は不明であり、没年も明らかになっていません。

大塚周一は、サイレント映画からトーキーへと移行する激動の時代に、数多くの作品でカメラを回し、日本映画の発展に貢献しました。彼のフィルモグラフィーには、時代劇、現代劇、ドキュメンタリーなど、多岐にわたるジャンルの作品が並びます。現存するフィルムは少ないものの、その仕事は日本映画史にその名を刻んでいます。

主なフィルモグラフィー

燕の歌 (1923)
権三と助十 (1923)
村長の息子 (1923)
大久保彦左一本参る (1923)
人の振り見て (1923)
咽び泣く魂 (1923)
菊の井物語 (1923)
彼女の運命 前篇 (1924)
いがみの権太 (1924)
彼女の運命 後篇 (1924)
悲しき曙光 (1924)
超現代人 (1924)
情熱の火 (1924)
血桜 (1924)
無名の愛 (1924)
関守の情 (1924)
戦場の月 (1924)
争闘 (1924)
栄光の剣 (1924)
盗 (1924)
茶人木阿弥 (1924)
邪宗門の女 (1925)
目明し惣七 前篇 (1925)
目明し惣七 後篇 (1925)
暗雲時代 (1925)
二人の父 (1925)
大根は微笑む (1925)
悪逆の血 (1925)
乱刀 前篇 (1925)
増補新選組 (1925)
続 乱刀 (1925)
玉蟲お仙 (1925)
風 (1925)
女と侠客 (1925)
電光石火 (1925)
夢現三百年往来 (1926)
哄笑の血達磨 (1926)
讐討乙女椿 (1926)
断末魔の復讐 (1926)
血路 (1926)
邪刃悪魔 (1926)
愛傷 (1926)
剣闘 (1926)
雄剣 (1926)
悪鬼 (1926)
毛谷村六助 (1927)
雪冤 (1927)
勇肌 (1927)
剣戟の双竜 (1927)
葵の五郎蔵 (1927)
小猿七之助 (1927)
剣難女難 前篇 (1927)
剣難女難 後篇 (1927)
砂絵呪縛 第一篇 (1927)
砂絵呪縛 第二篇 (1927)
砂絵呪縛 第三篇 (1927)
天保島原惨劇 (1928)
悲曲三勝半七 (1928)
権八色懺悔 (1928)
小判因果 (1928)
月形半平太 (1928)
おんぼろ草紙 (1928)
大学のイーグル 第一篇 (1928)
つづれ烏羽玉 第一篇 (1928)
つづれ烏羽玉 後篇 (1928)
続・斑蛇 (1928)
大化新政 (1929)
異説 清水一角 (1929)
愛する者の道 (1929)
旗本小普請衆 (1929)
微笑 (1929)
国定忠次の遺児 (1929)
刀を抜いて (1929)
荒木又右衛門 全五篇 (1929)
愛する者の道 (1929)
続影法師 狂燥篇 (1929)
弥次喜多 京の巻 (1930)
呑福大恋愛 (1930)
侠艶三人女 (1930)
街の洒落男 (1930)
こんな奴を警戒しろ (1930)
真田十勇士 (1931)
幕末風雲記 (1931)
まだら蜘蛛 (1931)
紅蝙蝠 (1931)
三日月次郎吉 (1931)
片手無念流 第二篇 (1931)
片手無念流 完結篇 (1931)
血縁赤城颪 前篇 (1931)
金子夫人 (1932)
女優奈々子の裁判 (1932)
嘆きの女間諜 (1932)
怪傑鬼神組 前篇 天誅篇 (1932)
新戦場 (1932)
旅枕五月晴れ (1933)
若様大学 (1933)
血戦千穂川 (1933)
路二つ (1933)
最後の土曜日 (1936)
松平外記 (1936)
弥太郎笠 前篇 (1936)
江戸育ちお祭佐七 (1936)
弥太郎笠 後篇 (1936)
裸の礫 (1936)
槍持街道 (1936)
忍術猛獣国探検 (1936)
妖術白縫変化 (1937)
刀を抜いて (1937)
遊侠太平記 (1937)
戦國時代 (1937)
* 高等商船学校 (1944)

もう一度検索