養翠園

養翠園（ようすいえん）

養翠園は和歌山県和歌山市に位置する美しい池泉回遊式の日本庭園であり、国の名勝に指定されています。この庭園は、公家の三条公修がその名をつけたとされています。

歴史と背景

この庭園は、紀州藩第10代藩主である徳川治寶の命により、文政元年（1818年）から文政9年（1826年）にかけて造営されました。元々は紀州藩士の山本理左衛門の下屋敷だったと伝えられています。広大な敷地は、約33,000平方メートルにも及びます。

庭園の特徴的な部分は、和歌山湾に面して設けられた「汐入り」の池です。この池では、海水が引き込まれ、潮の干満に応じて水面が動き、独特の景観を生み出しています。特に、池には珍しい直線状の三ツ橋がかけられており、その背後には天神山と章魚頭姿山が借景として配されています。この構図は、中国の西湖を模しているとも言われており、訪れる人々に深い感動を与えます。

汐入りの池は、日本の庭園の中でも珍しいものであり、海南市にある近代の温山荘園の作庭にも影響を与えました。このような大規模な庭園が汐入りの池を有するのは、東京の浜離宮恩賜庭園を含むごく限られた場所に限られています。

特徴と施設

養翠園は日本国内でも唯一の個人所有の大名庭園とされています。平成3年から平成6年にかけては文化庁の指導のもと、御茶屋「養翠亭」の解体修理工事が行われました。この養翠亭は、建設されたのは文政4年（1821年）で、現在は18室の部屋を有し、内部の鑑賞には事前の申し込みが必要です。また、毎月第1日曜日には月釜茶会「あさも会」が開催されており、茶道を体験することができます。

他にも、養翠亭内には「左斜め登り御廊下」という全国唯一の遺構があり、2畳台目の茶室「実際庵」もあります。これらはすべて日本文化の貴重な遺産であり、多くの訪問者に親しまれています。

さらに、平成18年（2006年）には和歌山市の指定文化財である「湊御殿」が、桃畑跡に移築復元され、内部が有料で公開されています。

アクセスと利用情報

養翠園は年中無休で開園しており、各季節によって開園時間が異なります。1月1日から11時〜17時の時間帯で、4月から8月までは9時〜18時、9月から3月までは9時〜17時の開園です。

アクセスは、JR和歌山駅または南海和歌山市駅から和歌山バス「雑賀崎」方面行きのバスを利用し、「養翠園前」で下車後、徒歩約10分です。また、阪和自動車道の和歌山ICからは10kmの距離にあります。

周辺には、和歌浦や紀州東照宮、玉津島神社など、観光名所が点在しており、訪れる際には併せて観光することができます。自然と歴史が織り成すこの場所で、みなさんもぜひ心癒されるひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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