大安渓鉄橋

大安渓鉄橋：台湾の歴史を語る鉄道遺産

大安渓鉄橋は、台湾の苗栗県三義郷と台中市后里区の境界を流れる大安渓に架かる、台湾鉄路管理局旧山線の鉄道橋です。現在は廃線となっていますが、その歴史的価値から台中市政府と苗栗県政府によって県市定古蹟に指定されており、2つの県市に跨る古蹟の同時登録は台湾初の事例です。

構造

大安渓鉄橋は、旧山線の大甲渓鉄橋、屏東線の下淡水渓鉄橋と並び、台湾に現存する数少ない下路式曲弦ワーレントラス鋼橋の一つです。1908年に総工費513,893円をかけて建設されました。旧山線の7号トンネル南側に位置し、旧山線内で最も長く、同種のものとしても台湾最長です。

建設当初は、200フィート（約61メートル）の桁が8本、全長503.9メートルで、アメリカン・ブリッジ製のものが使用されていました。当初はトラス桁12本で計画されましたが、大安渓の流量などを考慮して8本に改められました。橋脚は鉄筋コンクリートのケーソン、橋座部は煉瓦組積造で構築されています。

戦後、列車の重量増加に対応するため、耐震性強化工事が行われました。その結果、62.41メートルの桁が2本追加され、全長は637.39メートルとなりました。

新山線の開通後は廃止され、現在は封鎖されています。しかし、その美しい姿と歴史的な価値から、現在でもフェンスを乗り越えて記念撮影をする観光客が後を絶ちません。橋上には防護柵がないため、訪れる際は注意が必要です。

沿革

縦貫線は、資材を全て日本から搬入したため、打狗港（現在の高雄港）に近い南部と、基隆港に近い北部が比較的早く開通しました。特に難易度が高かったのは、現在の旧山線を含む苗栗と豊原の間でした。工事は、総督府臨時台湾鉄道敷設部工務課三叉河出張所が担当しました。

三叉河（現在の三義駅）と葫蘆墩（現在の豊原駅）の間には、軍事速成線として軽便鉄道と資材運搬線が先行して建設されました。この軽便鉄道は、9kgレール、軌間495mmの複線で、内社川と大安渓北岸までの支線がありました。伯公坑と葫蘆墩を結ぶ軽便線14.5kmは、1905年1月に起工され、4ヶ月程度で完成しました。この時、大安渓に架けられた橋は木造でした。

1903年（明治36年）5月4日 - 起工。
1904年（明治37年）5月17日 - 三叉河からの大安渓北岸・内社川までの運搬線完工。
1905年（明治38年）5月15日 - 三叉河以南の軽便鉄道と後里庄以南の縦貫線営業開始。
1908年（明治41年）
2月14日 - 大安渓鉄橋竣工。
2月15日 - 三叉河と伯公坑間の運搬線廃止。
2月20日 - 三叉河と后里間開通に伴い当鉄橋開通、軍事速成線廃止。
4月20日 - 葫蘆墩と后里間開通で縦貫線全通。軽便鉄道撤去。
1935年（昭和10年）4月21日 - 新竹・台中地震で全線が被害。当鉄橋も橋脚が損傷。
1938年（昭和13年）7月15日 - 旧山線全線復旧。
1963年（民国52年）3月 - 補強工事。
1978年（民国67年）10月 - 本鉄橋を含む台中線電化。
1998年（民国87年）
9月23日 - 最終列車が運行される。
9月24日 - 新山線（台中線の新ルート）が開業に伴い廃止。
2017年11月23日 - 市指定古蹟に登録。

関連商品

大安渓鉄橋の1/107スケールの模型が台湾で商品化されています。

書籍としては、遠流出版公司から『自己蓋大安溪鐵橋』（2004年、張智偉/陳世仁著）が出版されています(ISBN 9573252244)。

まとめ

大安渓鉄橋は、台湾の鉄道史における重要な遺産であり、その美しい姿は多くの人々を魅了しています。廃線となった今もなお、その歴史と価値を伝える存在として、多くの人々に愛され続けています。訪れる際は、安全に配慮し、この歴史的な橋を尊重しましょう。

外部リンク

* 臺鐵舊山線－大安溪鐵橋 台中市文化資產處

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