台中線

台中線

台中線は、台湾鉄路管理局（台鉄）が運営する鉄道路線で、苗栗県竹南鎮の竹南駅から台中駅を経由し、彰化県彰化市の彰化駅に至る、西部幹線の一部を構成する重要な路線です。通称は「山線」と呼ばれており、これはかつて海沿いに建設された海岸線（海線）に対して、内陸部を通るルートとして区別されたことに由来します。実際の運行形態については、西部幹線の記事を参照してください。

歴史

台中線は、もともと基隆駅と高雄駅を結ぶ縦貫線の一部として建設されました。この路線の竹南駅～彰化駅間が、現在の台中線に相当します。縦貫線は台湾を代表する主要幹線でしたが、苗栗駅～豊原駅間の急勾配区間が輸送上のネックとなっていました。この問題を解決するため、海沿いの平坦な場所に新たな路線（海岸線）が建設され、列車を内陸部の従来線と海岸線の新線に分散させることで輸送力の増強が図られました。

1922年、竹南駅～彰化駅間の海岸線が開通し、内陸部を走る従来のルートは「山線」と呼ばれるようになりました。戦前は海岸線が縦貫線のメインルートとして扱われ、急行列車を含む長距離列車が海岸線経由で運行されていましたが、台中線を経由するのは比較的短距離を運行する列車が中心でした。しかし、その後、山線の路線改良（旧山線も参照）や電化が進められ、現在では台中線が縦貫線のメインルートとしての役割を担い、多くの対号列車がこの路線を経由して運行されています。

21世紀に入ると、台鉄の捷運化政策の一環として市街地の立体化が進められ、2016年には台中市内が高架化されました。また、終着駅である彰化市内でも高架化事業計画が進行中です。

年表

1903年5月25日：中港（現・竹南）～苗栗間が開通。
1908年4月20日：縦貫線竹南駅～彰化駅間（台中駅経由、現在の台中線に相当する区間）が全通。同時に縦貫線も全線が完成。
1922年10月11日：海岸線（竹南駅～彰化駅間、大甲駅経由）全通。海岸線の完成に伴い、台中駅経由のルートは「山線」と通称されるようになる。
1935年4月21日：新竹・台中地震で甚大な被害を受ける。
1959年8月7日：八七水災で甚大な被害を受け、完全復旧には17日間を要した。
1979年7月1日：台中線の電化に伴い、縦貫線全線電化が完了。
1988年：豊原以南が複線化。
1996年：三義以北が複線化。
1998年9月24日：三義と后里を結ぶ複線の新ルートが開通し、全線複線化が実現。旧ルートは旧山線としてその後保存、再活用が模索される。
1999年9月21日：台湾大地震により三義トンネルなどが甚大な被害を受け、復旧には10月8日まで18日間を要した。
2016年
9月10日：豊富駅が北勢渓の北側、高鉄苗栗駅横に移転。
10月16日：豊原駅～大慶駅間を高架に切り替え、一連の高架化工事が完了。
2018年10月28日：栗林・頭家厝・松竹・精武・五権駅が開業。

運行形態

区間車

苗栗市、台中市、彰化市を中心に往復運行しています。北部の区間車は苗栗発着、中部の区間車は后里発着が多く、苗栗と后里を結ぶ区間列車は、基隆～嘉義間の列車のみが基本となっています。1日26本は成追線に乗り入れ、台中線から海岸線に直通運転を行っており、通霄～豊原間での運行が主体です。

西部幹線対号列車

かつては高雄・屏東発着でしたが、現在は潮州～七堵・基隆間を運行しています。一部列車は瑞芳駅、花蓮駅、台東駅まで運行しています。

1999年9月21日の地震では、山線が閉鎖され、山線の全列車が海線に迂回しました。北行きの自強号は、まず台中駅で乗客を拾い、その後、成追線に引き返して海線経由で運行を続けました。この時、自強号は海線での営業停車駅はありませんでしたが、莒光号と復興号は海線の後龍、大甲、沙鹿の3駅で客扱いを行いました。

2008年5月15日以降、復興号は定期列車としては山線を走らなくなりましたが、2011年には春節と国慶節に山線で臨時列車が運行されました。また、2015年には台湾ランタンフェスティバルの昼間に、松山～新烏日間で復興号が臨時運行されるなど、山線でも臨時列車が随時運行されています。

2016年10月20日～2019年6月18日の間、台中鉄道の豊原～大慶間の高架化工事完了に伴い、莒光号の定期列車（観光列車を除く）は山線を走らなくなりました。しかし、2019年6月19日に莒光号は再び山線を走るようにダイヤが変更されました。

同時に、太魯閣号はドアのペダルと高架駅のホームの隙間でペダルが破損する可能性があるため、高架化後は海線経由に変更され、当路線を経由しなくなりました。

主要停車駅は、苗栗、豊原、台中です。后里、潭子にも適宜停車します。

使用車両

自強号（特急）

プッシュプル式：E1000型
電車：TEMU2000型（普悠瑪号）、TEMU1000型（太魯閣号）、EMU300型、EMU1200型
気動車：DR3100型気動車

莒光号

頭等客車/二等客車（平快を除く）

区間車/区間快車

EMU500型、EMU600型、EMU700型、EMU800型

過去の使用車両

自強号：EMU100型、EMU1200型、EMU200型、EMU300型、DR2900型気動車、DR3000型気動車
復興号
区間車/区間快車：EMU400型
普快車

駅一覧

※印の駅は廃駅です。背景色が■の部分は現在施設が未完成、または供用されていないことを示します。
営業キロは基隆駅を起点に計算します。

関連項目

旧山線
台湾の鉄道
台湾鉄路管理局
三義トンネル

出典

参考文献

『植民地の鉄道』、高 成鳳、日本経済評論社、2006年

外部リンク

* 山手線 台湾鉄路公司（山手線は山線の意訳）（日本語）

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