大岡越前 (テレビドラマ)

大岡越前：時代劇の金字塔

『大岡越前』は、1970年から1999年までTBS系列の「ナショナル劇場」枠で放送された長寿時代劇ドラマです。南町奉行・大岡忠相を主人公に、江戸の町で起こる様々な事件を鮮やかに解決していく物語は、多くの視聴者を魅了しました。

作品概要

• - 放送期間: 1970年 - 1999年
• - 放送局: TBS系列
• - 放送枠: ナショナル劇場（月曜日20時台）
• - 制作: C.A.L
• - 主演: 加藤剛（大岡忠相役）
• - シリーズ構成: 全15部、及び2時間スペシャル

番組タイトルは公募で決定され、6万件以上の応募の中から選ばれました。

各部の主な内容と特徴

第1部 (1970年)

若き日の大岡忠相が、親友・榊原伊織や南町奉行所の仲間たちと協力し、享保の改革の実現に奔走する姿を描きます。初期は、改革の政策実現への努力や葛藤、若い二人が家庭を持ち成長していく姿などが描かれています。また、忠相が世情を知るために着流しの浪人姿で町の様子を見て回るエピソードも描かれています。

第2部 (1971年)

庶民の生活と法との矛盾をなくすため、大岡忠相が尽力する姿を描きます。享保の大飢饉や流行病への対策などに追われる中、伊織が自らの医術の限界を感じ、長崎で医学修業することを決意します。そして、村上源次郎の娘・千春と結婚して長崎へ旅立っていきます。

第3部 (1972年)

伊織夫妻が長崎から江戸に戻り、大岡忠相は息子の成長とともに父親としての魅力を増していきます。夫婦の愛、親子の愛、友情などをテーマに、家庭人として、庶民のひとりとしての忠相を描いています。

第4部 (1974年)

人情深い奉行として慕われる大岡忠相が、大罪を犯した男の息子、相良俊輔の身柄を引き受け、内与力として登用します。猿の三次は船宿を始め、南町奉行所の仲間たちの憩いの場のような存在になります。冤罪問題、罪を犯す者の弱さなど、裁くことの難しさを感じる忠相は、江戸の町が真の意味で平和になることを願い職務に励みます。

第5部以降

忠相を演じる加藤剛の年齢が上がり、講談や落語の「大岡政談」のように、忠相を完全無欠の人物のように描くように変わっていきます。

主要キャスト

• - 大岡忠相: 加藤剛
• - 榊原伊織: 竹脇無我
• - 雪絵: 宇津宮雅代（第1部 - 第6部）、酒井和歌子（第7部 - 第8部）、平淑恵（第9部 - 最終回）
• - 村上源次郎: 大坂志郎
• - 猿の三次: 松山英太郎
• - すっとびの辰三: 高橋元太郎
• - 徳川吉宗: 山口崇
• - 大岡妙: 加藤治子
• - 大岡忠高: 片岡千惠藏

史実との相違点

ドラマでは、大岡忠相が青年奉行のように描かれていますが、史実では町奉行就任時に既に40歳であり、嫡男もいました。また、小石川養生所の初代肝煎や天一坊事件への関与など、史実とは異なる点が多々あります。

音楽

山下毅雄が作曲したテーマ曲は、バイオリン、口笛、女声コーラスで奏でられる独特の曲調で、多くの人に親しまれています。口笛は山下自身のものとなっています。

評価と影響

『大岡越前』は、長年にわたり多くの視聴者に愛された時代劇ドラマです。大岡忠相の公平で人情味あふれる裁きは、勧善懲悪の物語として、視聴者に希望と感動を与えました。また、本作は、数多くのリメイク作品やスピンオフ作品を生み出し、時代劇の世界に大きな影響を与えました。

2006年には、ナショナル劇場50周年記念特別企画として2時間スペシャルが放送され、事実上の最終回を迎えました。このスペシャルでは、大岡忠相が寺社奉行に昇進し、旗本から大名となる場面が描かれました。

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