大川端リバーシティ21

大川端リバーシティ21：東京ウォーターフロント開発の先駆け

大川端リバーシティ21は、東京都中央区佃に位置する、超高層住宅を中心とした複合的な住宅地です。この地域は、かつて石川島と呼ばれ、江戸時代には造船所が置かれていました。明治時代には石川島播磨重工業が設立され、工業地帯として発展しましたが、1970年代後半に工場が移転した後、その跡地が再開発されることになりました。

開発の背景

1979年、三井不動産と日本住宅公団（現：都市再生機構）が工場跡地を買収したことを機に、東京都は佃・新川地区を含む約330万㎡の大規模再開発を検討し始めました。この時期は、東京都知事の鈴木俊一が「マイタウン構想」を掲げ、大川端地区は、そのモデルプロジェクトとして推進されました。また、中曽根康弘内閣の「民活」政策も後押しとなり、国有地の払い下げや都市再開発の規制緩和が進みました。

開発の特徴

大川端リバーシティ21開発事業は、水辺を活かした良好な生活環境の回復と都心人口の回復を目標に、官公民共同で進められました。超高層住棟、ウォーターフロントの立地、そして官民共同開発が大きな特徴です。

当時、超高層マンションは珍しく、技術開発も研究段階でした。そのため、ニューヨークのバッテリー・パーク・シティやロンドンのドックランズを参考にしながら、1986年に着工、1989年から入居が開始されました。計画変更もありましたが、2010年に最後のオフィスビルが完成し、約20年かけて街全体が完成しました。

街区は東・西・北の3ブロックと教育施設用地で構成されています。超高層棟7棟、高層棟5棟のほか、緩傾斜型堤防（スーパー堤防）により親水性の高い空間が創出され、オープンスペースには、伊東豊雄によるオブジェ「風の卵」などが設置されています。また、地下鉄有楽町線の新設、隅田川に架かる中央大橋の建設、東京駅と直結する道路の新設など、交通アクセスも大幅に改善されました。

住棟デザインと共用施設

住棟デザインは、公社や公団の住宅がバルコニーの水平ラインを強調しているのに対し、三井不動産の分譲棟では角のバルコニーを無くし、大型サッシを用いた曲線的なデザインを採用しています。ポストモダンデザインが流行していた当時、ピラミッド型の斜め屋根のようなルーバーも話題となりました。

共用施設やサービスも先進的で、三井不動産棟では、ゴミ収集、届け物の預かり、宅配、ランドリーなどのアテンドシステムが導入されました。スポーツ施設やレストランも併設されました。公団棟でもセントラル給湯冷暖房や床暖房など、当時としては画期的な設備が導入されました。

各ブロックの概要

東ブロック: 公社・公団が賃貸住宅を供給しました。「イーストタワーズ」や「コーシャタワー佃」などが所在します。
西ブロック: 三井不動産が開発を担当し、「ピアウエスト」と名付けられました。当初は分譲住宅として計画されましたが、地価高騰により一部が賃貸住宅に変更されました。「パークサイドウイングス」や「リバーポイントタワー」などが所在します。
北ブロック: 当初は文化・商業施設用地として計画されましたが、地価下落の影響で住宅中心の複合開発に変更されました。「センチュリーパークタワー」や「リバーシティ21イーストタワーズII」などが所在します。
教育施設用地: 中央区立佃島小学校と中央区立佃中学校が所在します。

新川地区

隅田川の対岸の新川地区には、都市基盤整備公団が建設した「リバーシティ21新川」があります。こちらは灰色を基調とした外観が特徴で、佃地区とは異なる景観を形成しています。

沿革

1979年に大川端再開発基本計画調査が開始され、1986年に住宅建設が着工しました。1988年には地下鉄有楽町線が開通し、2000年には都営大江戸線も乗り入れ、月島駅の利便性が向上しました。2010年に全体が完成し、現在に至っています。

交通アクセス

月島駅（東京メトロ有楽町線・都営地下鉄大江戸線）から徒歩9分
八丁堀駅（東京メトロ日比谷線・JR京葉線）から徒歩14分
茅場町駅（東京メトロ東西線・東京メトロ日比谷線）から徒歩19分
都営バス「リバーシティ21」停留所下車
* 江戸バス「シニアセンター」停留所下車

まとめ

大川端リバーシティ21は、東京のウォーターフロント開発の先駆けとして、都心居住の新たな可能性を示しました。超高層マンション群だけでなく、周辺の公共施設や交通インフラの整備も同時に進められ、住みやすい街として発展を遂げました。現在では、多くの超高層マンションが建設されていますが、大川端リバーシティ21は、その先駆けとして、都市開発の歴史に名を刻んでいます。

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