大江山酒天童子

映画『大江山酒天童子』

『大江山酒天童子』は、1960年に公開された田中徳三監督の日本映画です。原作は川口松太郎の作品で、脚色は八尋不二が手掛けています。この映画は「大江山の鬼退治」という日本の伝説の一部を描く物語であり、KADOKAWAはこの作品を「スペクタクル時代劇」と位置づけています。

概要

映画のメインキャストとして、鬼を演じるのは長谷川一夫で、その対立役として源頼光を演じるのは8代目市川雷蔵です。ヒロインには山本富士子と中村玉緒が起用され、他にも勝新太郎、本郷功次郎、金田一敦子など、豪華なキャスト陣が揃っています。特に大橋史典がデザインした妖怪たちの姿は本作の大きな魅力となっています。

あらすじ

物語は平安時代末期から始まります。関白藤原道長（小沢栄太郎）は、渚の前（山本富士子）が妖怪に狙われていることを危惧し、源氏の大将源頼光（8代目市川雷蔵）に彼女を与え、妖怪から守ることを決意します。頼光は彼の四天王と共に渚を守る任務に就きますが、妖怪茨木童子（左幸子）の襲撃や、酒天童子（長谷川一夫）の動きが物語をさらに複雑にします。

渚が頼光の居館に訪れた夜、茨木童子が彼女を誘拐しようとします。しかし、頼光の勇気によってその危機は回避されます。一方、酒天童子配下の野盗たちが別の場所で暴れ、中納言の娘桂姫（金田一敦子）が誘拐される事件が発生します。道長はこの野盗と妖怪の問題を頼光に解決させることで、事態の収拾を試みます。

大江山に住む酒天童子を討伐することが頼光に課せられ、彼は決意を固めます。頼光の兄、渡辺綱（勝新太郎）と共に坂田金時（本郷功次郎）が山に入りますが、彼らも妖怪に襲われてしまいます。金時は妖術使いの鬼童丸（千葉敏郎）に囚われますが、頼光は彼らを救いに向かいます。

物語が進む中で、渚が語る酒天童子の真実、彼の妻であったことも明らかになります。渚は自害し、頼光が大江山に出陣する運命の決戦が迫ります。戦の中で、酒天童子は頼光との一騎打ちを望みますが、その間にこつまが酒天童子の潔白を訴えるシーンは、物語の中での深い感情を表現しています。

最終的な決戦では、酒天童子と頼光の間の葛藤が浮き彫りになり、渚の思いが酒天童子にどれほど影響を与えているかが描かれます。このように本作は、時代劇の枠を超えた深い人間ドラマが展開され、視聴者に強い印象を与えます。豪華キャストと壮大なストーリーが融合した『大江山酒天童子』は、今なお多くの人々に記憶され続ける名作と言えるでしょう。

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