大野田

大野田（おおのだ）

大野田は、長野県松本市安曇地区に位置する集落の一つです。1874年（明治7年）に安曇村が発足した際、構成された4つの村のうちの一つでした。集落は梓川の左岸に位置し、南側を国道158号が通過しており、松本方面から上高地や乗鞍高原、岐阜県方面への重要な通過点となっています。

地理と集落の特徴

集落は、梓川左岸の河岸段丘状の緩傾斜地に立地しており、長さ約900メートル、幅は最大250メートル程度と比較的コンパクトな規模です。旧安曇村を構成した4つの村の中では最も人口が少ない集落でした。梓川の対岸地域や、集落東南端にある新淵橋を渡った先は波田地区となります。

梓川の同じ左岸下流の梓川地区へは崖地を通る必要があり、右岸の波田地区へは新淵橋を渡る必要があったため、明治2年の新淵橋架橋以前は、下流の集落に近いにもかかわらず、地理的に孤立した状況にありました。しかし、近代以降は、筑摩野地域である波田・松本方面との交通の便が向上しました。

明治時代には、養蚕業が普及し、それまであった水田が桑畑へと転換され、地域全体が桑一色になるほど盛んでした。集落の規模は小さいながらも、昭和末期から平成にかけての人口減少は、近隣の島々や稲核と比較すると緩やかです。

名称の由来

「大野田」という名称は、古くから使われていたものではなく、もともと「おおぬた」と呼ばれていた地名に漢字を当てたものです。天正年間（1573年～1592年）の戦国時代の動乱を記した『岩岡家記』には、「大ぬた夏道」「大ぬた小屋」という記述が見られ、この「大ぬた」が現在の「大野田」を指していることがわかります。

人口の推移

2013年10月1日時点では、世帯数115、人口は288人（男性142人、女性146人）となっています。

近世における人口の推移を見ると、1728年（享保13年）には129人、1806年（文化3年）には168人、1865年（慶応元年）には208人と増加しています。

近世から近代にかけての世帯数の推移は、1855年（安政2年）に40世帯、1868年（明治元年）に40世帯、1901年（明治34年）に41世帯、1935年（昭和10年）には65世帯となっています。

現代における人口の推移は、1968年（昭和43年）に282人、1975年に275人、1990年（平成2年）に256人、2013年に288人と、変動はあるものの、近年は比較的安定しています。

交通

公共交通機関としては、アルピコ交通上高地線の新島々駅から、上高地・乗鞍高原行きの路線バスが利用できます。梓川沿いのバス停で乗降でき、新島々駅からの所要時間は約6分です。

参考文献

『安曇村誌　第3巻 歴史上』安曇村、1997年3月
『安曇村誌　第3巻 歴史下』安曇村、1998年3月

関連項目

島々
稲核
大野川 ([[松本市)]]
新淵橋

もう一度検索