大阪体育大学ラグビー部

大阪体育大学ラグビー部は、通称「大体大（だいたいだい）」あるいは「大体（だいたい）」と呼ばれ、「ヘラクレス軍団」の愛称で知られています。現在、関西大学ラグビーリーグ戦のBグループ（2部リーグ）に籍を置いて活動しており、正式名称はOsaka University of Health and Sport Sciences Rugby Football Clubです。

歴史


その歴史は1968年にラグビー同好会として始まりました。活動開始から間もなく実力をつけ、1971年には関西大学Bグループで優勝。翌1972年度からは関西大学Aグループ（1部リーグ）への昇格を果たしましたが、当時のリーグは強豪揃いであり、初期は下位での戦いが続き、定着には時間を要しました。この時期、専任の指導者が不在で、週に一度来校する非常勤講師の辻野昭氏が作成した練習メニューを部員たちが自主的にこなすという状況でした。

転機が訪れたのは1975年です。常勤の指導者を迎えたいという大学の意向を受け、当時の学生部長だった中島直矢氏（後に名誉教授）が、同志社大学の岡仁詩監督に相談。そこで現役を引退したばかりの近鉄ラグビー部の坂田好弘氏が推薦されます。当初、近鉄での社業に専念するつもりだった坂田氏は一度は固辞しますが、中島氏の熱心な説得に応じ、1977年より同大学の講師に就任すると同時にラグビー部の監督に就任しました。

坂田体制のもと、チームは急速に強化されます。1978年には関西Aグループで3位となり、初の大学選手権出場をかけた関西第三代表決定戦に進出しましたが、惜しくも中京大学に敗れ、出場は叶いませんでした。しかし、1981年には再び関西Aグループで3位となり、関西第三代表決定戦を勝ち抜いて、念願だった初の全国大学ラグビーフットボール選手権大会出場を果たします。この大会の1回戦では、最終的に優勝する明治大学に対し10対20と互角に近い戦いを展開し、その実力を全国に示しました。

1982年には、後に日本代表でも活躍する大八木淳史氏や平尾誠二氏を擁する同志社大学に次ぐ関西Aグループ準優勝を達成。大学選手権では再び明治大学と対戦しましたが、惜しくも敗退しました。そして、1985年には、当時リーグ戦71連勝中だった強豪・同志社大学を34対8で破る快挙を成し遂げ、関西Aグループで初めての優勝を飾りました。この勝利は「ヘラクレス軍団」の存在を全国に知らしめる一戦となりました。

その後もチームの躍進は続き、1987年、1989年、1991年と関西Aグループで優勝を重ね、計4度の優勝を達成しました。大学選手権でも、1987年と1989年には準決勝に進出するなど、全国の強豪と肩を並べる存在となります。また、1986年には初めてのニュージーランド遠征を敢行するなど、国際交流も積極的に行いました。

一時期は同志社大学や京都産業大学の後塵を拝し、優勝から遠ざかった時期もありましたが、2006年には久方ぶりに全勝での関西Aグループ優勝を果たしました。この年度の大学選手権でも再び準決勝に進出し、再び全国の舞台で存在感を示しました。2010年には英国のインペリアル・カレッジ・ロンドンを招いて国際試合を行い、2011年には人工芝ラグビー場のリニューアルを記念した試合を開催するなど、活発な活動を続けました。

長年チームを率いた坂田監督は、2012年度のシーズンをもって退任。その後、チームは再び困難な時期を迎えます。2014年度のリーグ戦で全敗しBグループへ降格。2017年度にBグループで優勝しAグループに昇格しましたが、2019年度に再びBグループ降格となり、現在に至ります。

タイトル



主な在籍選手（※2024年現在の情報に基づく）


  • - 羽田賢信（主将、CTB / 京都工学院高出身）
  • - 山本波琉（副将、SH / 東海大大阪仰星高出身）
  • - 大塚隼（副将、HO / 天理高出身）

在籍した主な選手


卒業後、国内外で活躍した選手や指導者、関係者を多数輩出しています。
  • - 瀬川智広（元東芝、7人制日本代表ヘッドコーチ / 明石西高出身）
  • - 稲田雅巳（元日本代表23歳以下、京都教員ラグビー部元主将 / 府立門真南高校出身）
  • - 梅本勝（元マツダ、倉敷高校監督 / 尾道商業高校出身）
  • - 杉本誠二郎（元日本IBM、常翔啓光学園高校監督 / 啓光学園高出身）
  • - 井上正幸（大阪体育大学元監督 / 府立大東高校出身）
  • - 文原俊和（元日本IBM、元日本代表 / 大工大高出身）
  • - 木村賢一（元トヨタ自動車、元日本代表）
  • - 綾部正史（大阪桐蔭高校監督 / 大阪桐蔭高出身）
  • - 織田己知範（元ワールド、元日本代表 / 東海大仰星高出身）
  • - 高柳健一（元トヨタ自動車、元日本代表 / 大阪桐蔭高出身）
  • - 橋脇正典（ラグビーレフリー、和歌山工業高校監督 / 和歌山工業高出身）
  • - 岩本健一朗（元トヨタ自動車、元7人制日本代表 / 履正社高出身）
  • - 永田克也（元伊勢丹主将、元日本選抜・日本代表23歳以下 / 府立摂津高校出身）
  • - 高橋一彰（元トヨタ自動車監督、元日本代表 / 啓光学園高出身）
  • - 豊山昌彦（元トヨタ自動車、元日本代表 / 江の川高出身）
  • - 金喆元（近鉄ライナーズ所属 / 大韓民国出身）
  • - 久住辰也（元トヨタ自動車、元日本代表 / 関西創価高出身）
  • - 村上晃一（ラグビージャーナリスト / 鴨沂高出身）
  • - 日出山繁（元ホンダヒート / 東海大仰星高出身）
  • - 赤木基浩（元セコム / 大工大高出身）
  • - 松岡毅（元豊田自動織機 / 神戸甲北高出身）
  • - 松岡勇（花園近鉄ライナーズ所属 / 神戸甲北高出身）
  • - 猪瀬佑太（NECグリーンロケッツ所属、元日本代表 / 常総学院高出身）
  • - 福田哲也（コカ・コーラ所属 / 大分海洋科学高出身）
  • - 佐藤孝樹（九州電力所属 / 大分舞鶴高出身）
  • - 濱里祐介（宗像サニックス所属 / 名護高出身）
  • - 壇辻勇佑（元近鉄ライナーズ / 啓光学園高出身）
  • - 柳川大樹（リコーブラックラムズ所属、元7人制日本代表 / 城東高出身）
  • - 福居武（キヤノンイーグルス所属 / 啓光学園高出身）
  • - 西井利宏（宗像サニックス所属 / 愛媛三島高出身）
  • - 山口浩平（近鉄ライナーズ所属 / 東海大仰星高出身）
  • - 秋山陽路（ホンダヒート所属 / 貞光工業高出身）
  • - 王鏡聞（近鉄ライナーズ所属 / 朝明高出身）
  • - 竹内擁騎（ホンダヒート所属 / 大分舞鶴高出身）
  • - 上山直之（NTTドコモ所属 / 渋谷高出身）
  • - 川崎大翔（ホンダヒート所属 / 大阪桐蔭高出身）
  • - 長崎健太郎（神戸製鋼所属 / 尾道高出身）
  • - 伊尾木洋斗（トヨタ自動車所属 / 洛北高出身）
  • - 真田裕継（日野レッドドルフィンズ所属 / 生野高出身）
  • - 藤田タリグ洋一（宗像サニックス所属 / 大阪桐蔭高出身）
  • - 福本翔平（リコーブラックラムズ所属 / 東海大仰星高出身）
  • - 谷峻輔（宗像サニックス所属 / 大阪桐蔭高出身）
  • - 森林啓斗（宗像サニックス所属 / 城東高出身）
  • - 廣田耀規（宗像サニックス所属 / 四日市農芸高出身）
  • - 渡邉隆盛（日本製鐵八幡所属 / 大分雄城台高出身）
  • - 高未來（島津製作所所属 / 東海大仰星高出身）
  • - 高橋在人（ヤマハ発動機所属 / 大阪桐蔭高出身）
  • - 山本剣士（クボタスピアーズ所属 / 姫路工業高出身）
  • - 柳川正秀（NTTコミュニケーションズ所属 / 石見智翠館高出身）
  • - 五十野海大（NTTドコモ大阪所属 / 八幡工業高出身）
  • - 堀之内敬志（秋田ノーザンブレッツ所属 / 大産大付高出身）
  • - 吉田敢太（レッドハリケーンズ大阪所属 / 大阪桐蔭高出身）
  • - シオネ・マウ（コベルコ神戸スティーラーズ所属 / 高知中央高出身）

参考文献


  • - 「空飛ぶウイング―坂田好弘が駆け抜けた日本ラグビー黄金時代」（村上晃一 著、洋泉社）

関連項目



外部リンク


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