大飛進

大飛進：相撲界の知性と情熱の物語

大飛進（だいひすすむ）は、1952年愛知県名古屋市港区生まれの元大相撲力士です。最高位は東前頭2枚目。184cm、128kgの体格で、左四つ、上手投げを得意としました。本名は小椋進（おぐらすすむ）。

名古屋から大山部屋へ

中学校の恩師の勧誘がきっかけで、1968年3月場所、15歳で元大関・松登が師匠を務める大山部屋に入門しました。入門当初は、稽古土俵を持たない大山部屋の事情から、高砂部屋に通って稽古に励みました。四股名も幾度か変更しており、当初は本名で土俵に上がり、その後「剱岳」、「大登」と改名。最終的に「大飛」に落ち着いたのは、1978年9月場所からです。

幕内上位への挑戦と苦難

地道な努力により、1974年7月場所に十両に昇進。その後、幕下陥落を経て1977年1月場所に新入幕を果たしました。幕内上位まで番付を上げましたが、痛風や右大腿部の故障により、1978年9月場所には幕下に陥落。十両への復帰、そして1981年11月場所の再入幕を果たしましたが、幕内定着には至らず、1983年5月場所を最後に現役を引退しました。

親方としての指導と大山部屋の継承

引退後は年寄・山響を襲名し、大山部屋の付き人として後進の指導にあたりました。しかし、師匠である大山親方の急逝を受け、1986年4月、大山部屋を継承することになります。しかしながら、経営難のため同年5月30日に閉鎖を余儀なくされ、弟子たちと共に高砂部屋へ転属しました。その後、東関部屋、八角部屋へと移籍しています。

日本相撲協会での貢献

引退後、日本相撲協会では相撲教習所に29年間所属し、教頭格として後進育成に尽力しました。相撲教習所の教官としての見識を深め、決まり手の整理・命名にも中心となって取り組みました。決まり手が82手に増えたのは、大飛氏の尽力によるところが大きいと言われています。また、「相撲健康体操」の発案など、相撲の普及にも貢献しました。

2012年には日本相撲協会役員選挙で副理事に初当選。巡業部副部長、警備本部副部長などを歴任し、巡業先での相撲講座や初切の指導など、後進の指導や相撲文化の普及に尽力しました。2017年10月に停年を迎え参与となり、2018年3月からは礼儀作法指導係を務めました。2022年8月31日に日本相撲協会を退職しました。

エピソード

大山部屋を継承した際、資金不足に悩まされ、師匠の葬儀費用にも事欠く状況でした。メディアでも取り上げられたこのエピソードは、小部屋経営の困難さを象徴的に示しています。また、2010年の日本相撲協会理事選挙では選挙管理委員長を務め、投票方法の透明性向上に貢献しました。

相撲文化史に造詣が深く、協会主催の「相撲寺子屋」の講師を務めるなど、角界随一の知識人としても知られています。横綱・白鵬の綱先の「曲がりっぷり」を指摘し、改善を促したエピソードも有名です。

まとめ

大飛進氏は、力士として、親方として、そして日本相撲協会職員として、相撲界に多大な貢献をしました。その人生は、相撲への情熱と、深い知識、そして真面目な人柄によって彩られています。困難に立ち向かいながら、相撲界の発展に尽力した氏の功績は、後世に長く語り継がれるべきでしょう。

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