天元 (北元)

天元（てんげん）

天元は、中国の元朝が北へ退いた後の北元時代に、トグス・テムル（在位：1378年 - 1388年）の治世で使用された元号です。この元号は、1379年から1388年までの期間に用いられたとされていますが、史書によっては開始年や終了年に異説があります。

年号の期間に関する異説

『新元史』では、天元の期間を1379年から1388年としていますが、他の史料では異なる見解が見られます。

『明実録』: 1388年末年説を支持しており、天元が1388年に終了したと記しています。
『明史』: 『明史』の「太祖本紀」では1389年末年説を採用していますが、「韃靼伝」では1388年末年説を支持しています。
鍾淵映『歴代建元考』: 1380年改元説を唱えており、天元の開始年を1380年としています。
李崇智『中国歴代年号考』: 1379年から1387年までとする説を提唱しています。

このように、天元の開始年と終了年については、複数の史料間で異なる見解が存在します。これらの異説は、当時の記録の不確かさや解釈の違いによるものと考えられます。

西暦・干支との対照表

天元の期間（1379年 - 1388年説）における西暦と干支の対応は以下の通りです。

北元について

北元は、1368年に明朝によって大都（現在の北京）からモンゴル高原に退いた元朝が、その後も存続した政権を指します。トグス・テムルは、北元の皇帝として、モンゴル高原で勢力を維持しようとしましたが、明朝との対立は続きました。天元は、このような激動の時代に使用された元号であり、当時の政治情勢を反映しています。

参考資料

『新元史』
『明実録』
『明史』
鍾淵映『歴代建元考』
李崇智『中国歴代年号考 修訂本』（北京：中華書局，2001年）
鄧洪波編『東亜歴史年表』（台北：台湾大学出版中心，2005年）

その他の天元

「天元」という元号は、他の時代や国でも使用されています。北元の天元と区別するために、他の天元についても確認する必要があります。

このように、天元は北元の歴史を理解する上で重要な要素であり、その期間や背景を把握することは、当時の政治・社会情勢を理解する上で不可欠です。

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