太刀風義経

太刀風 義経（たちかぜ よしつね、1930年8月2日生、没年不明）は、現在の鹿児島県薩摩川内市にあたる、当時の鹿児島県薩摩郡樋脇町出身の元大相撲力士です。本名を岩下 義経（いわした よしつね）といい、井筒部屋に所属しました。最高位は1957年1月場所における東前頭20枚目です。

来歴

18歳を迎えた1948年、岩下義経は上京し、井筒部屋へ入門しました。そして、翌1949年5月場所で相撲人生の第一歩となる初土俵を踏みます。この場所で初土俵を踏んだ力士の中には、後に前頭まで番付を上げる高錦らがいました。

初めて番付にその名が載った1949年10月場所では、序ノ口において12勝3敗という見事な成績を収め、序ノ口優勝を果たしました。当時は幕下以下の取組も初日から千秋楽まで組まれており、その中で掴んだ栄誉でした。この場所より、「太刀風」という四股名を名乗り始め、現役を終えるまでこの名前で土俵を務め上げることになります。

その後も太刀風は着実に番付を上げ続け、1955年1月場所で新十両昇進を果たしました。十両での地位を維持しながら力をつけ、十両に昇進してから7場所目にあたる1956年5月場所では、11勝4敗と大きく勝ち越し。同場所の十両優勝決定戦に進出し、福ノ海や羽子錦らを相手にした優勝決定戦を制して、十両優勝を成し遂げました。この勢いに乗り、翌場所も9勝6敗と勝ち越しを決め、1957年1月場所において遂に新入幕を果たします。

念願の幕内では、東前頭20枚目の地位で土俵に上がりましたが、残念ながら幕内の壁は厚く、4勝11敗と大きく負け越してしまい、僅か1場所で十両への陥落を喫しました。結果として、太刀風の幕内在位はこの1場所のみに終わることになります。

幕内から十両へ陥落した後、しばらくは十両の地位を維持していましたが、1959年3月場所で幕下へ番付を下げてしまいました。同年9月場所以降は再び関取（十両以上）の地位に昇ることは叶わず、1960年1月場所後、29歳という若さで現役を引退しました。

なお、太刀風が現役晩年に十両に在位していた頃、当時まだ幕下であった後の大横綱・大鵬幸喜（本名：納谷幸喜）と、1959年1月場所の9日目に対戦しています。この一番では敗れていますが、伝説となる力士との対戦経験は、その相撲人生の一コマとして記憶されるでしょう。

主な戦績

通算成績：279勝290敗（勝率.490）
幕内成績：4勝11敗（勝率.267）
現役在位：44場所
幕内在位：1場所

各段優勝

十両優勝：1回（1956年5月場所）
序ノ口優勝：1回（1949年10月場所）

体格・得意手

現役時代の体格は身長175cm、体重90kgでした。得意手は右四つからの寄り、そして下手投げなどを武器としました。

改名歴

入門時は本名の岩下 義経（いわした よしつね）でしたが、初めて番付に四股名が載った1949年10月場所以降は、引退まで太刀風 義経（たちかぜ よしつね）の四股名を名乗りました。

関連項目

大相撲力士一覧

参考文献

佐竹義惇『戦後新入幕力士物語』 第2巻、ベースボール・マガジン社、1990年。ISBN 4-5830-2875-X。

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