女囚701号/さそり

女囚701号/さそり

『女囚701号/さそり』は、1972年8月25日に公開された東映製作の日本映画であり、女囚さそりシリーズの第一作目です。

概要

本作は、刑務所を舞台に、主人公の女囚・松島ナミが、裏切りと暴力に満ちた環境で、脱走と復讐を遂げようとする物語です。刑務所内での凄惨なリンチや陵辱シーン、そして復讐を遂げるための激しいバイオレンス描写が特徴です。観る者に深い衝撃を与える作品として、公開当時から話題を呼びました。

ストーリー

物語は、女子刑務所から松島ナミが脱走したことを告げるサイレンが鳴り響く場面から始まります。3年前、刑事である恋人・杉見に裏切られ、ヤクザ組織の男たちに陵辱されたナミは、復讐を誓い、杉見を襲撃して逮捕、投獄されました。刑務所では、班長グループの女囚からの嫌がらせや、看守からのリンチに耐えながら、脱走の機会を伺います。数日後、懲罰房から出たナミは、嫉妬や欲望が渦巻く雑居房で、復讐心を燃やし続けます。

ナミは、他の女囚たちと対立する一方で、同じ境遇の由起子や、新入りの梨恵と友情を育みます。一方、ナミの脱走未遂を知った杉見は、彼女が復讐を企てているのではないかと恐れ、ヤクザを使ってナミの暗殺を企てます。

強制労働中のトラブルから暴動が発生し、ナミは脱走の機会を伺いますが、その最中、味方である由起子が、ナミを庇って片桐に撃たれて命を落とします。ナミは、片桐が杉見の命令で自分を狙っていたことを知り、杉見への復讐心をさらに強くします。ナミは、刑務所の倉庫に立てこもり、看守を人質に取りますが、その混乱の中、火事を起こして脱走に成功します。

脱走後、全身黒ずくめの姿で街に現れたナミは、かつて自分を裏切った男たちへの復讐を遂げていくのでした。

スタッフ

企画：吉峰甲子夫
原作：篠原とおる
脚本：神波史男、松田寛夫
撮影：仲沢半次郎
録音：広上益弘
照明：川崎保之丞
美術：桑名忠之
音楽：菊池俊輔
編集：田中修
助監督：小平裕
記録：山内康代
スチール：遠藤努
擬斗：日尾孝司
進行主任：入葉一男
装置：石井正男
装飾：神谷浩幸
美粧：須々木善二郎
美容：花沢久子
衣装：内山三七子
演技事務：山田光男
現像：東映化学
監督：伊藤俊也

キャスト

松島ナミ（囚人番号701号）：梶芽衣子
主人公。刑務所内では「マツ」と呼ばれています。過去の裏切りから、冷酷で強い精神力を持つ女囚へと変貌します。由起子や梨恵とは友情で結ばれており、杉見に対しては強い復讐心を抱いています。
杉見次雄：夏八木勲
警視庁の刑事で、ナミの元恋人。出世のためなら手段を選ばない狡猾な男です。過去にヤクザ組織と裏で繋がり、ナミを陥れた張本人です。
海津敏：伊達三郎
海津興行の社長。杉見と裏取引をして組織を拡大しました。ナミの復讐を恐れています。
竹中：日尾孝司
海津の幹部。ナミを強姦しました。脱獄したナミによって殺害されます。
保利：藤山浩二
海津の幹部。ナミを強姦しました。脱獄したナミによって殺害されます。
木田由起子：渡辺やよい
ナミの味方。言葉は話せませんが、ナミとは深い絆で結ばれています。
進藤梨恵：扇ひろ子
ナミの味方。機転が利き、ケンカも強い女囚です。
大塚：根岸明美
一般女囚のリーダー的存在。暴動の際、女囚たちをまとめます。
鬼頭：片山由美子
ナミが独房に入れられた時に同室になった女囚。実は郷田所長が送り込んだ女看守である。
片桐：横山リエ
班長グループのリーダー。杉見からナミの暗殺を命じられています。
井棟：三戸部スエ
ナミとユキの配膳係で、嫌がらせをします。
政木：三原葉子
班長グループの女囚。賭け事に夢中です。
郷田毅：渡辺文雄
刑務所の所長。女囚たちを厳しく管理します。
沖崎：室田日出男
看守長。郷田の右腕として、女囚たちを指導します。
古谷：堀田真三
副看守長。ライフル銃の扱いに長けています。
曽我：沼田曜一
ナミをいびる看守。暴動のきっかけを作ります。
別荘番：加村赳雄
海津の子飼いでナミの動向を報告する。
その他、小林稔侍、たこ八郎、三重街恒二、土山登士幸、畑中猛重、城春樹、国景子、城恵美、小林千枝、由貴リエ、織田英子、園かおる、山本緑、木村修、山浦栄、五野上力、谷本小代子、伊藤慶子、小甲登枝恵、竹村清女、八百原寿子、立花リリ、橘すみえ、章文栄、渡辺ゆき、吉田まゆみ、続圭子、河野ミサ、愛田ジュン、久野四郎、山田甲一、高月忠、佐川二郎、清水照夫、溝口久夫などが出演しています。

作中の刑務所について

刑務所内は、一般女囚と班長グループの2つに分かれています。班長たちはオレンジ色の囚人服を着ており、一般女囚は青系の囚人服を着ています。刑務所内には、所長、看守、班長、一般女囚という序列が存在しており、それぞれの立場で物語が展開します。

興行

本作は、当初期待されていなかったものの、公開されると大ヒットを記録しました。これは、同時期に公開された作品が不入りだったことや、本作の内容が観客の心に強く響いたためと考えられます。監督の伊藤俊也は、東映労組の闘士であり、制作中に撮影日程を大幅に遅らせていました。そのため、製作側からは批判的な意見も出ていましたが、結果として、東映の新たな可能性を示唆する作品となりました。

同時上映

『まむしの兄弟 傷害恐喝十八犯』

主演：菅原文太
監督：中島貞夫
脚本：佐治乾、蘇武路夫

外部リンク

女囚701号 さそり - 日本映画データベース
女囚701号 さそり - allcinema
女囚701号 さそり - KINENOTE
Female Prisoner #701: Scorpion - オールムービー（英語）
* Female Prisoner #701: Scorpion - IMDb（英語）

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