女性 (南沙織の曲)

南沙織が14作目のシングルとして、1974年12月21日にCBS・ソニーから発表した楽曲が『女性』（じょせい）です。作詞を有馬三恵子氏、作曲を筒美京平氏が手がけ、編曲を高田弘氏が担当しています。

南沙織は1974年、オリジナルのシングルを年間で4枚発表するなど、歌手として非常に精力的な活動を展開していました。本作はその年の掉尾（ちょうび）、つまり締めくくりを飾る重要な位置づけのシングルでした。年末という発売時期の特性から、年明けの音楽番組などで本楽曲が披露される機会が多くありました。

この楽曲に関する興味深いエピソードとして、年末年始のテレビ番組で歌唱した際に、南沙織が着物姿でパフォーマンスしたことが挙げられます。当時同じ番組に出演していた歌手の山口百恵氏は、その姿を見て「いつか自分も着物を着て歌ってみたい」と語ったといわれています。この逸話は、後に南沙織のデビュー30周年を記念して2000年に発売されたCD-BOX『CYNTHIA ANTHOLOGY』に付属する解説本の中で、当時の音楽プロデューサーであった酒井政利氏によって詳細に語られています。当時のトップアイドル二人の間接的な交流を示す一幕として知られています。

このシングルには、表題曲「女性」（演奏時間: 3分3秒）と、B面曲「人のあいだ」（演奏時間: 3分8秒）の2曲が収録されています。両楽曲とも、作詞は有馬三恵子氏、作曲は筒美京平氏というゴールデンコンビによる作品です。「人のあいだ」の編曲は筒美京平氏自身が手掛けています。

「女性」は、南沙織のキャリアを代表する楽曲の一つとして、その後の様々なアルバムに数多く収録されています。リリースされて間もない1975年版の『南沙織ヒット全曲集』をはじめ、『南沙織デラックス』、『Best of Best 南沙織のすべて』などのベストアルバムに早期から収録され、その重要性が示されていました。さらに時代を経ても、『CYNTHIA ANTHOLOGY』や『GOLDEN☆BEST 南沙織 筒美京平を歌う』、『ゴールデン☆アイドル 南沙織』といった後年の企画盤やコンピレーションアルバム、さらにはライブバージョンやノンストップミックスバージョンが収録された作品など、多岐にわたるアルバムでこの楽曲を見つけることができます。B面曲の「人のあいだ」も、『Cynthia Memories』や『CYNTHIA ANTHOLOGY』などに収録されており、ファンの間で根強い人気を持っています。これらの多くの収録実績は、楽曲が時代を超えて愛され続けている証と言えるでしょう。

後年には、他のアーティストによるカバーも生まれています。特に、歌手の岩崎宏美氏が2019年にリリースした、筒美京平氏のトリビュートアルバム『Dear Friends VIII 筒美京平トリビュート』の中で、この「女性」をカバーしました。これにより、若い世代にも楽曲の魅力が再び届けられています。

本楽曲が発表された1974年から翌1975年にかけての日本の音楽シーンや、当時南沙織が小柳ルミ子、天地真理と共に「新三人娘」として人気を博していた背景なども、本楽曲が生まれた時代を理解する上で関連深い事項と言えます。

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