女殺し屋 花笠お竜

『女殺し屋 花笠お竜』は、1969年10月4日から1970年3月28日にかけて、東京12チャンネル（現・テレビ東京）で放送された連続テレビ時代劇です。全26話で、日産自動車の一社提供番組として放送されました。

この作品は、棚下照生による劇画作品を原作としています。原作は『めくらのお市』や『旅がらすくれないお仙』といった女侠客を描いた作品で知られています。テレビドラマ版では、原作漫画『ハンターお竜』を基に、独自の解釈を加えて制作されました。

主人公は、母の面影を胸に旅を続ける鳥追い娘、花笠お竜です。彼女は凄腕の殺し屋であり、真紅の仕込み三味線を武器に、仲間たちと共に数々の事件に挑みます。時代劇でありながら、お竜が「ハンター」を名乗るなど、現代的な要素も取り入れられた、異色の時代劇作品となっています。

お竜の武器である仕込み三味線は、弦を切ることで仕込み刀が現れるという、斬新な仕掛けが施されています。「糸が三度鳴ったら…斬るよ!!」という決め台詞と共に繰り広げられる殺陣は、本作の見どころの一つです。また、毎回のオープニングでは、お竜が自身の生い立ちと決意を視聴者に向けて語るシーンが定番となっていました。

番組初期のレギュラー陣は、お竜役の久保菜穂子、女スリ役のカルーセル麻紀、一匹狼の赤牛九郎太役の長門勇、投げ縄使いの蝮縄の虎松役の大木正司の4名でした。その後、南弘子演じる鈴が音おりんがレギュラーに加わり、長門勇と大木正司の降板に伴い、女性3人のレギュラー陣となりました。カルーセル麻紀演じるお巻は、物語途中で殺害され、その後妹である「ハンターお巻」として再登場するなど、大胆な展開も見られました。

脇役には、加藤清三、沢りつお、納谷悟朗、西川幾雄といったベテラン俳優が多数出演しています。また、殺陣はJFA（ジャパン・ファイティング・アクターズ）が担当し、後に特撮ヒーローシリーズで活躍するスタントマンも多数参加していました。渡辺高光をはじめ、きくち英一（菊池英一）、遠矢孝信などが斬られ役などで出演しています。

主題歌「三味線剣法」「おんな一人旅」は、都はるみが担当し、コロムビアレコードから発売されました。作詞は三浦康照、作曲は市川昭介が担当しています。力強い歌声と時代劇の世界観が見事にマッチした主題歌も、番組の人気を後押ししました。

『女殺し屋 花笠お竜』は、個性的なキャラクター、斬新なアクション、そして時代劇の枠を超えた独特な世界観によって、多くの視聴者を魅了した作品と言えるでしょう。時代劇ファンのみならず、幅広い層に支持された、昭和を代表する時代劇の一つとして、現在も語り継がれています。

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