女流文学賞

女流文学賞について



女流文学賞は、中央公論社が主催していた文学賞です。この賞は、女流文学者会が主催していた女流文学者賞を引き継ぐ形で創設されました。女性作家による優れた文学作品を顕彰することを目的としていましたが、「女流」という名称が時代にそぐわないという批判や、女性作家の進出が著しい中で女性のみを対象とすることへの再検討の必要性が高まりました。

創設当初は、女性作家の活躍を後押しする重要な役割を果たしましたが、中央公論社の経営不振により2000年をもって終了しました。翌2001年からは、婦人公論文芸賞として新たな形で引き継がれています。毎年6月に受賞作品が発表され、多くの文学ファンや作家にとって注目の的でした。

受賞作品一覧



以下に、第1回から第39回までの受賞作品を一覧で示します。

第1回から第10回

第1回(1962年):網野菊『さくらの花』
第2回(1963年):佐多稲子『女の宿』、瀬戸内晴美『夏の終り』
第3回(1964年):野上弥生子『秀吉と利休』
第4回(1965年):該当作なし
第5回(1966年):円地文子『なまみこ物語』
第6回(1967年):有吉佐和子『華岡青洲の妻』、河野多惠子『最後の時』
第7回(1968年):平林たい子『秘密』
第8回(1969年):阿部光子『遅い目覚めながらも』
第9回(1970年):大原富枝『於雪 土佐一条家の崩壊』、大谷藤子『再会』
第10回(1971年):宇野千代『幸福』

第11回から第20回

第11回(1972年):芝木好子『青磁砧』
第12回(1973年):幸田文『闘』
第13回(1974年):富岡多恵子『冥土の家族』
第14回(1975年):大庭みな子『がらくた博物館』
第15回(1976年):萩原葉子『蕁麻の家』
第16回(1977年):高橋たか子『ロンリー・ウーマン』、宮尾登美子『寒椿』
第17回(1978年):竹西寛子『管絃祭』、津島佑子『寵児』
第18回(1979年):中里恒子『誰袖草』、佐藤愛子『幸福の絵』
第19回(1980年):曽野綾子『神の汚れた手』※辞退
第20回(1981年):広津桃子『石蕗の花』

第21回から第30回

第21回(1982年):永井路子『氷輪』
第22回(1983年):林京子『上海』
第23回(1984年):吉田知子『満州は知らない』
第24回(1985年):山本道子『ひとの樹』
第25回(1986年):杉本苑子『穢土荘厳』
第26回(1987年):田辺聖子『花衣ぬぐやまつわる……』
第27回(1988年):塩野七生『わが友マキアヴェッリ』、金井美恵子『タマや』
第28回(1989年):吉行理恵『黄色い猫』
第29回(1990年):村田喜代子『白い山』、津村節子『流星雨』
第30回(1991年):山田詠美『トラッシュ』、須賀敦子『ミラノ 霧の風景』

第31回から第39回

第31回(1992年):岩橋邦枝『浮橋』、稲葉真弓『エンドレス・ワルツ』
第32回(1993年):安西篤子『黒鳥』
第33回(1994年):松浦理英子『親指Pの修行時代』
第34回(1995年):高樹のぶ子『水脈』
第35回(1996年):田中澄江『夫の始末』
第36回(1997年):北原亞以子『江戸風狂伝』
第37回(1998年):米谷ふみ子『ファミリー・ビジネス』
第38回(1999年):原田康子『蝋涙』
第39回(2000年):川上弘美『溺レる』

選考委員



各回の選考委員は以下の通りです。

第1回:正宗白鳥井上靖、平野謙、野上弥生子佐多稲子円地文子平林たい子
第2-3回:川端康成(正宗白鳥死去に伴い)
第4-10回:丹羽文雄(川端康成退任に伴い)
第11-15回:井上靖円地文子佐多稲子、平野謙、丹羽文雄、野上弥生子
第16回:上記に加え宇野千代
第17回:井上靖宇野千代円地文子佐多稲子、丹羽文雄
第18-19回:上記に加え佐伯彰一
第20-25回:井上靖宇野千代円地文子佐伯彰一、丹羽文雄、河野多恵子
第26-27回:上記から円地文子が退任
第28回:井上靖大庭みな子、河野多恵子、佐伯彰一佐多稲子瀬戸内寂聴
第29-35回:阿川弘之大庭みな子佐伯彰一瀬戸内寂聴田辺聖子
* 第36回以降:上記から大庭みな子が退任

まとめ



女流文学賞は、数多くの優れた女性作家を世に送り出し、日本の文学界に大きな足跡を残しました。その歴史と業績は、文学史において重要な位置を占めています。受賞作品は、今もなお多くの読者に愛され、読み継がれています。


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