如道

如道：鎌倉時代後期の浄土真宗僧とその影響

如道(にょどう)は、鎌倉時代後期に活躍した浄土真宗の僧侶であり、真宗三門徒派、真宗誠照寺派、真宗山元派の祖として知られています。越前国出身と伝えられていますが、出自については諸説あり、定かではありません。しかしながら、真言宗の伝法灌頂を複数回受けていることから、一定の身分を持った人物であったと推測されます。

如道の生涯は、三河国で布教活動を行っていた浄土真宗の僧、和田円善との出会いを転機とします。円善の弟子となった如道は、正応3年（1290年）に大町専修寺を開創。近江国や若狭国へと勢力を拡大し、一大教団を築き上げました。この教団は、後に横越證誠寺（真宗山元派本山）、鯖江誠照寺（真宗誠照寺派本山）、中野専照寺を中心とした「三門徒派」と呼ばれるようになります。また、如道は親鸞作の『三帖和讃』を重視したことから、「讃門徒」とも呼ばれました。

如道の念仏理論は、当時の権力者にも知れ渡るほど影響力を持っていました。正和年間には、彼の説いた念仏理論の書が、花園天皇もしくは後伏見上皇にも上聞された記録が残されています。元応元年（1319年）には、後醍醐天皇から上人号を賜るなど、社会的な地位も確立していました。

応長元年（1311年）、本願寺となる大谷廟堂の留守職を務めていた覚如が、息子存覚と共に越前に訪れました。覚如は、当時高田派や佛光寺派などとの争いに巻き込まれており、勢力を拡大していた如道の教団に協力を求めたと考えられます。覚如父子は20日以上も如道の元に滞在し、如道は覚如から『教行信証』の講義を受けるなど、浄土真宗の教えを改めて深く学びました。この交流を通じて、如道の教団は本願寺と深い関係を結ぶことになります。

如道は、後に真宗山元派本山となる證誠寺を建立した道性、そして真宗誠照寺派本山となる誠照寺を建立した如覚らを弟子として育成しました。暦応3年（1340年）8月11日、88歳で亡くなりました。その後、彼の次男である如浄が教団を継承しました。

如道と「秘事法門」

如道は、後に本願寺と三門徒が対立した際に、「秘事法門」の主唱者として非難されることになります。「反古裏書」などの文献では、覚如が如道から秘事法門の邪義を教え込まれたと主張していますが、如道と覚如の関係性から考えると、この記述には疑義があります。如道の著作には、秘事法門を示唆するような記述は見当たりません。むしろ、大町専修寺第4世の僧侶が浄土宗に傾倒し、本願寺から破門されたことなど、様々な事情が複雑に絡み合い、如道に対する誤解や偏見が生まれた可能性が高いと推測されます。小泉義博らの研究も、この点を指摘しています。

如道の生涯と教団は、鎌倉時代後期の浄土真宗の動向を考える上で非常に重要であり、その影響は現代まで続いています。しかし、歴史的事実と解釈のずれ、そして後世の様々な事情が絡み合った結果、彼の生涯や思想に関する様々な憶測や論争が現在まで続いていると言えるでしょう。今後も新たな研究や史料の発掘によって、如道像はより明確になっていくと期待されます。

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