威王 (斉)

威王（いおう）とその治世

威王（いおう）は、中国戦国時代の斉において第4代の君主で、王としては初代にあたります。彼は紀元前356年から紀元前320年まで在位し、父は桓公です。威王の姓は嬀、氏は田、名は因斉、そして諡号は威です。彼の治世は無裁定から始まり、その後の改革によって国の安定をもたらしました。

即位後の苦難

威王が即位した際、彼は先代の桓公の死後、すぐに内外からの脅威に直面しました。三晋（魏・韓・趙）や魯などからの侵略を受け、領土を次々と奪われる危機的な状況に置かれました。しかし、威王はこの困難に対してあまり積極的に行動を起こしませんでした。彼は一度だけ魏との継承争いに介入するために攻撃を行いましたが、その後すぐに撤退しています。そのため、内部では政治が腐敗し、威王は酒宴に耽り、政務を他人に任せきっていました。

威王の性格と謎かけ

「史記滑稽列伝」に記されているように、威王は自身の側近とのコミュニケーションにおいて謎かけを好んでいました。ある日、淳于髠という者が彼に謎を出しました。「我が国には大鳥がいて、3年間鳴くことも飛ぶこともない。この大鳥は何か？」と。威王は即座に答えました。「この大鳥は、飛ばないが飛べば高く昇り、鳴かないが鳴けば人を驚かせる」といった内容で、これにより彼は自らの無為を認識したのかもしれません。

内部改革の開始

この謎かけを経て、威王は即墨の大夫を呼び出し、厳重な調査を行いました。すると、彼が日常的に非難されていた理由は、政務が滞りなく運営されているためであり、その証拠として即墨の大夫は万戸の邑に封ぜられました。

一方で、阿の大夫に対しては状況が逆でした。彼が賞賛される理由は、実際には貧困と怠惰のものであり、その結果、阿の大夫は処刑されました。この出来事を機に、威王は体制を正し、72人の大夫を呼び出して成果を評価しました。奨励すべき者には報酬を与え、怠けていた者には厳罰を下しました。

人材重視の国政

威王は、特に人材の価値を重視しました。紀元前358年に魏侯罃との会話では、自国の宝は人材であり、彼がこのように応えたところ、魏侯は恥じ入りました。こうした人材かつ国民の生活を重視する姿勢が、彼の新たな政策を生み出すきっかけとなったのです。

戦略と外交政策

紀元前357年、斉が趙を救うために出兵しました。これは“囲魏救趙”と呼ばれる戦略で、敵を包囲する魏に対抗する効果的な手段を採ったのです。これにより、斉の存在感が強まり、流動的な国際情勢においても安定を確保しました。また、威王は再び諫言を受け入れる姿勢を見せ、自身を改めようとしました。これにより、周辺諸国は斉に朝貢し、対する国々に敬意を表しました。

結論

威王の治世は、初めての困難からの無為状態を乗り越え、内政改革を進めることで国とその周辺の安定を実現しました。彼の教訓からは、賢明な判断と人材の重要性が浮かび上がります。彼の経歴は、戦国時代の波乱の中でも理想的な指導者の姿を示しているのです。

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