学寮 (東本願寺)

学寮(がくりょう)とは



学寮は、江戸時代前期に東本願寺が設けた僧侶の教育機関檀林)であり、現在の大谷大学の源流にあたります。同時期には、西本願寺も同様の教育機関を設立しており、それが現在の龍谷大学へと繋がっています。

学寮の歴史



創設期


1665年寛文5年)、第14代法主・琢如によって、東本願寺境内に学寮が創設されました。当初の目的は、寺院に仕える子弟の教育でした。1678年延宝6年)には、学寮は枳殻邸(きこくてい)に移転しました。この時期の学寮は、枳殻邸敷地内西側の御長屋棟の中央部に位置しており、「御長屋学寮時代」と呼ばれています。しかし、この時期の史料はあまり残されていません。当時の学寮の管理は、「一老、二老」と呼ばれる御堂衆が担当し、講師は必要に応じて任命されていました。

高倉学寮時代


1755年宝暦5年)、講師の恵然の時代に、学寮高倉通魚棚(たかくらどおりうおのたな)に移転し、以降「高倉学寮」と呼ばれるようになりました。この移転を機に、恵然は学寮の制度を大幅に整備しました。講師は学寮内に居住し、職務に専念するようになり、終身制で学寮全体を管理し、夏安居(げあんご)の講師も務める、東本願寺内でも最高の権威を持つ学匠へと改められました。この新制講師の初代には、恵然の後継者である恵琳が就任しました。

1757年宝暦7年)には、夏安居に加えて春・秋にも講義が開かれるようになり、講師、嗣講(しこう)、擬講(ぎこう)という階層が形成されました。1794年寛政6年)には、香月院深励(こうげついんじんれい)が講師となり、宗学を大成しました。

貫練場(かんれんじょう)の設置と近代化


1868年慶応4年)には、キリスト教研究を目的とした「護法場」が、学寮内の井波屋敷に設置されました。1873年明治6年)には、高倉学寮と護法場が統合され、「貫練場」と改称されました。1874年明治7年)には、貫練場内に真宗学、華厳宗天台宗倶舎宗、唯識学、外学の6科の寮舎が設けられました。1879年明治12年)には、貫練場は「貫練教校」と改称され、1882年明治15年)には「真宗大学寮」と改称されました。この頃から、東本願寺は僧侶教育の近代化を徐々に進めていきました。

近代的な大学へ


1896年明治29年)、「真宗大学寮」は、伝統的な宗派教育を受け継ぐ「真宗高倉大学寮」と、新しい教育制度に基づく「真宗大学」に分かれました。1897年、真宗大学の初代学監に占部観順(うらべかんじゅん)が就任しました。真宗大学は1901年明治34年)に東京市巣鴨に移転・開校し、清沢満之(きよさわまんし)が学監(学長)に就任しました。1904年明治37年)には、専門学校令に基づく大学として認可されました。1911年明治44年)には、真宗大学と高倉大学寮が再統合し、「真宗大谷大学」と改称され、京都に置かれることが決定しました。1913年大正2年)には現在地に移転し、1922年大正11年)には大学令に基づく「大谷大学」として認可されました。これ以降の歴史は、大谷大学の項目を参照してください。

学寮期の歴代講師



学寮時代には、以下の人物が講師を務めました。

光遠院恵空(1715年 - 1721年)
香厳院恵然(1728年 - 1764年)
理綱院慧琳(1765年 - 1789年)
寂定院慧敞(1791年 - 1793年)
香月院深励(1794年 - 1817年)
円乗院宣明(1811年 - 1821年)
五乗院宝景(1821年 - 1828年)
易行院法海(1828年 - 1834年)
雲華院大含(1834年 - 1850年)
香樹院徳龍(1845年 - 1858年)
開悟院霊?(1849年 - 1851年)
本法院義譲(1852年 - 1858年)
皆遵院宜成(1858年 - 1861年)
賢殊院得住(1861年 - 1870年)
香山院 樋口龍温(1865年 - 1885年)
開華院 渡辺法住(1871年 - 1874年
雲澍院 南条神興(1883年 - 1887年)
香華院 宮地義天(1889年 - 1889年)
香涼院 武田行忠(1889年 - 1890年)
因明院 雲英晃耀(1893年 - 1895年)
真成院 細川千巌(1894年 - 1897年
冷香院 楠潜龍(1894年 - 1896年
是心院 調雲集(1897年 - 1899年)
開神院 広陵了栄(1898年 - 1900年)
香龍院 渡辺法瑞(1901年 - 1904年
香温院 龍山慈影(1901年 - 1921年)
一乗院 吉谷覚寿(1901年 - 1914年)


脚注



学寮は、東本願寺の僧侶教育において重要な役割を果たしました。
その歴史は、時代とともに変化し、近代的な大学へと発展しました。

関連項目



香月院深励
香樹院徳龍
宗教系旧制専門学校
* 学寮

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。