孫興祖

孫興祖（そん こうそ）は、1335年に濠州鍾離県で生まれ、元末から明初の動乱期に活躍した軍人です。彼はその落ち着いた性格と強い意志を持ち、朱元璋の信頼厚い部下として、明王朝の建国に大きく貢献しました。

生涯

孫興祖は、若くして徐達に見出され、その才能を高く評価されました。1355年、朱元璋軍が長江を渡る際に従軍し、その武勇と戦略眼を発揮して数々の戦で功績を重ね、都先鋒という重要な役職に就任しました。1360年の龍江での戦いでは、陳友諒軍を破り、その手腕を認められて統軍元帥に昇進しました。さらに、瑞昌の八陣営を攻略するなどの功績により、天策衛指揮使に抜擢されました。その後の1362年には、南昌の西山に立て籠もる敵軍を趙徳勝と共に打ち破り、3千人以上を討ち取るという大戦果を上げました。

1365年、孫興祖は泰州を攻略し、翌1366年には、海陵の守備を任されました。海陵は、張士誠軍に対する重要な防衛拠点であり、孫興祖は、軍規を徹底し、兵士の訓練を怠らず、防御を固めました。張士誠軍が海口に侵攻してくると、孫興祖はこれを撃退し、彭元帥を含む200人以上の敵将兵を捕虜にしました。さらに、通州を攻め落とし、その後、張士誠軍は海安を侵攻することができなくなったと言われています。

1367年、平江攻略後、通州攻略の命を受けました。通州の守将たちは、徐達に降伏し、孫興祖は大都督府副使に進み、彭城を守備することになりました。1368年には、北伐に参加し、徐達の軍に合流しました。東昌で諸軍と合流し、韓政と共に臨清に集結しました。徐達が徳州に到着すると、常遇春らと共に合流し、同年8月には大都を攻略するという快挙を成し遂げました。大都を北平と改称し、六衛を設置し、3万の兵を駐留させました。孫興祖と華雲龍が北平の守備を任され、領大都督分府事となりました。徐達が西に進軍した際、ココ・テムルが居庸関から北平を攻撃しようとした際、徐達は「北平には孫都督がいるから心配ない」と述べ、孫興祖の能力を高く評価しました。

1370年、孫興祖は六衛を率いて徐達に従い、進軍中に三不剌川で敵軍と遭遇し、激戦の末に五郎口で戦死しました。享年36歳。平定と龐禋も同じ戦で命を落としました。朱元璋は孫興祖の死を深く悼み、燕山侯の爵位を追贈し、「忠愍」という諡号を贈りました。また、通州の常遇春の祠に祀られることになりました。その後、中書省が孫興祖の俸給について上奏した際、朱元璋は孫興祖の功績を偲び、その俸給を孫興祖の遺族に与えるよう命じたと伝えられています。

孫興祖は、その生涯を通じて明王朝の建国と安定に尽力し、その功績は後世にまで語り継がれています。

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