宇佐美興屋

宇佐美興屋（うさみ おきいえ）

宇佐美興屋は、1883年（明治16年）1月27日に東京府で生まれ、1970年（昭和45年）9月27日に没した、日本の陸軍軍人です。最終階級は陸軍中将。陸軍士官学校14期、陸軍大学校25期を卒業しています。

生い立ちと初期の軍歴

宇佐美興屋は、税関吏であった宇佐美潤屋の長男として生まれました。東京府立第一中学校、陸軍中央幼年学校を経て、1902年（明治35年）に陸軍士官学校を卒業しました。翌1903年（明治36年）には陸軍騎兵少尉に任官し、騎兵第7連隊に配属されました。その後、1913年（大正2年）には陸軍大学校を3位で卒業し、恩賜の軍刀を授与されました。

佐官時代

佐官時代には、オランダ公使館附武官、陸軍省軍務局騎兵課長、騎兵第13連隊長、東京警備参謀長などの要職を歴任しました。これらの職務を通じて、宇佐美は騎兵科のエキスパートとしての地位を確立しました。

将官時代

1930年（昭和5年）3月には陸軍少将に進級し、騎兵監部付となります。その後、1931年（昭和6年）には騎兵第3旅団長、1932年（昭和7年）には陸軍騎兵学校長を歴任しました。1933年（昭和8年）には騎兵集団長に補され、1934年（昭和9年）には陸軍中将に進級しました。同年8月には騎兵監に転じ、1935年（昭和10年）には第7師団長に親補され、1936年（昭和11年）には侍従武官長に親補されました。1939年（昭和14年）には軍事参議官となり、1940年（昭和15年）に予備役へ編入されました。

侍従武官長としての活動

宇佐美は、1936年（昭和11年）から1939年（昭和14年）にかけて侍従武官長を務めました。この間、彼は陸軍中央の意向に左右されない、独立した行動を取ることで知られていました。侍従長を務めた藤田尚徳は、宇佐美を「気骨のある人物」と評し、陸軍中央の意に沿わない行動が多かったと証言しています。宇佐美の更迭後には、温厚な性格で知られる蓮沼蕃が後任として任命されました。

ノモンハン事件を巡る対立

皇室ジャーナリストの河原敏明によると、1939年（昭和14年）のノモンハン事件の3ヶ月前、海軍の軍令部員が満州を視察した際、関東軍が満ソ国境に25個師団を配置していることを知り、伏見宮博恭王・元帥海軍大将に報告しました。伏見宮はこの情報を昭和天皇に伝えましたが、陸軍からの報告を受けていなかった天皇は、宇佐美に事実関係と意図を確認するよう命じました。しかし、宇佐美は陸軍中央と連絡を取らず、天皇が期待するような対応をしなかったため、天皇の不興を買い、更迭されることになりました。この際、退任時の慰労品が非常に粗末なものであったことや、慰労の言葉が短かったことからも、宇佐美への処遇の厳しさが伺えます。

栄典

宇佐美興屋は、その功績により、以下の位階と勲章を授与されています。

位階
1934年（昭和9年）3月15日 - 従四位
1936年（昭和11年）4月15日 - 正四位
1939年（昭和14年）5月1日 - 従三位
勲章等
勲一等旭日大綬章：1939年（昭和14年）3月23日

公職追放

1947年（昭和22年）11月28日、宇佐美興屋は公職追放の仮指定を受けました。

宇佐美興屋は、軍人として、また侍従武官長として、その信念を貫き通した人物であり、その生涯は、激動の昭和史の一断面を映し出しています。

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