蓮沼蕃

蓮沼蕃（はすぬま しげる）

蓮沼蕃は、1883年（明治16年）に石川県で生まれ、1954年（昭和29年）に没した日本の陸軍軍人です。最終階級は陸軍大将で、勲一等功二級を受章しています。

生い立ちと初期の軍歴

旧加賀藩士の家に生まれ、後に蓮沼家の養子となりました。成城学校を経て、1903年（明治36年）に陸軍士官学校を卒業。同期には竹田宮恒久王、梅津美治郎らがいました。日露戦争には騎兵第10連隊附として出征し、その後、第10師団副官を務めました。

1911年（明治44年）には陸軍大学校を卒業。同期には梅津美治郎、永田鉄山らがいます。その後、参謀本部部員、ドイツ私費留学、イギリス駐在武官などを歴任し、シベリア出兵にも参加しました。帰国後は陸軍騎兵実施学校教官、騎兵第9連隊長などを務め、東宮武官兼侍従武官を拝命しました。

将官としての活躍

1931年（昭和6年）に陸軍少将に昇進し、陸軍[[騎兵学校]]教育部長、騎兵第2旅団長、騎兵集団長などを歴任しました。1935年（昭和10年）には陸軍中将となり、騎兵監、第9師団長、中部防衛司令官、駐蒙兵団司令官、駐蒙軍司令官などを歴任しました。

1939年（昭和14年）には侍従武官長に任命され、1940年（昭和15年）には陸軍大将に昇進。太平洋戦争（大東亜戦争）中も一貫して侍従武官長を務めました。終戦後の1945年（昭和20年）に予備役に編入され、1947年（昭和22年）には公職追放の仮指定を受けました。

栗林忠道との関係

蓮沼蕃は、硫黄島の戦いで知られる栗林忠道陸軍中将と深い関係がありました。栗林中将は、硫黄島での防衛戦の最中、最後の戦訓電報を参謀本部だけでなく、当時の侍従武官長であった蓮沼にも宛てています。

この電報で栗林は、自身の戦術が陸大で蓮沼から教わったことを基本としていると述べ、蓮沼の指導に感謝の意を示しました。また、電報には海軍の失態を批判し、陸海軍の統帥一元化を求める内容も含まれており、蓮沼は栗林のこの意思を受け止めています。

栄典

蓮沼蕃は、その軍事における功績により、以下の位階と勲章を受章しています。

位階
1904年（明治37年）5月17日 - 正八位
1905年（明治38年）8月18日 - 従七位
1910年（明治43年）9月30日 - 正七位
1915年（大正4年）10月30日 - 従六位
1920年（大正9年）11月30日 - 正六位
1930年（昭和5年）10月15日 - 正五位
1935年（昭和10年）9月2日 - 従四位
1937年（昭和12年）9月15日 - 正四位
1940年（昭和15年）10月1日 - 従三位
1943年（昭和18年）10月15日 - 正三位
勲章等
1940年（昭和15年）8月15日 - 紀元二千六百年祝典記念章

親族

妻は蓮沼田鶴で、高松徹好陸軍少佐の娘です。長男は東京大学教授の蓮沼宏、三男は陸軍少佐の蓮沼健です。娘婿には陸軍中佐の河合重雄がいます。

蓮沼を演じた俳優

蓮沼蕃は、映画『日本のいちばん長い日』で以下の俳優によって演じられています。

北竜二（1967年、岡本喜八監督）
姉川新之輔（2015年、原田眞人監督）

参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
* 『官報』

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