宇都宮市の地域内交通

宇都宮市の地域内交通

宇都宮市では、地域住民が主体となって運営するコミュニティバスや乗合タクシーが「地域内交通」として運行されています。これらの公共交通機関は、市の支援を受けながら、地域の実情に合わせた柔軟な運行形態をとっているのが特徴です。本稿では、これらの地域内交通に加え、宇都宮市内の路線バス網の現状、歴史的背景、ICカードサービスについても詳しく解説します。

宇都宮市内の路線バス網

宇都宮市内では、JR宇都宮駅や東武宇都宮駅を中心に、市内外へ向かう路線バスが運行されています。多くの路線バスは、JR宇都宮駅西口から馬場町、二荒山前、県庁前を経由し、東武駅前へと至ります。また、中心市街地を循環するコミュニティバス「きぶな号」は、宇都宮駅や東武宇都宮駅と、県庁や市役所、旧篠原家住宅、清巌寺、慈光寺、宇都宮城址公園といった観光スポットを結んでいます。その他、宇都宮駅東口や雀宮駅を起点とする路線も存在します。

路線バスの歴史的背景

宇都宮市の路線バス網は、関東自動車（関東バス）が大きなシェアを占めています。かつては東武バスも多数の路線を運行していましたが、東武宇都宮線との競合などの理由から撤退しました。国鉄バスも市内東部で路線を展開していましたが、JRバス関東への移行後、路線の規模は縮小されました。また、東野交通も人口減少地域での路線を削減し、利用者の多い地域への運行を強化しています。

路線バスの現状

平日ラッシュ時には、通勤・通学客でバスが非常に混雑します。特に朝や悪天候時には、都心部の通勤電車並みの混雑となることもあります。また、JR宇都宮駅西口から東武駅前までの区間は路線が過密で、平日朝夕には数秒から数分間隔という高頻度での運行が行われています。

2023年8月26日には、宇都宮ライトレール（LRT）が開業し、宇都宮駅東部方面の路線バスは大幅に再編されました。LRT沿線の交通結節点であるトランジットセンターが新たな起点となり、周辺地域を結ぶバス路線網が形成されました。

宇都宮市の「地域内交通」

宇都宮市では、高齢化や環境問題に対応するため、2006年度に「生活交通確保プラン」を策定し、公共交通空白地域を中心に「地域内交通」の導入を進めてきました。地域内交通は、地域住民が運営協議会を設立し、地域の実情に応じた運行を行い、市が運行経費を支援する方式をとっています。これにより、地域主導の公共交通ネットワークの構築を目指しています。

地域内交通の特徴

地域内交通には、定時定路型とデマンド型があります。定時定路型は、決まったルートと時刻で運行されます。デマンド型は、事前に登録した住民が、必要な時に予約して利用します。デマンド型は、原則として登録者のみが利用でき、地域外の人は同乗できません。利用料金は1回300円で、日曜祝日と年末年始は運休です。

佐藤栄一宇都宮市長は、地域住民が主体的に交通を運営することの重要性を強調しています。行政が一方的に押し付けるのではなく、地域住民が「自ら乗る」という意識を持つことが、持続可能な公共交通の運営に不可欠であるという考えです。

交通系ICカードサービス

2021年3月21日から、栃木県内の関東自動車とJRバス関東の路線バスで、地域連携ICカード「totra（トトラ）」が導入されました。SuicaやPASMOなどの全国相互利用が可能なICカードも利用可能です。宇都宮ライトレールも開業時からICカードに対応しています。

2022年9月1日からは、地域内交通でも交通系ICカードが利用できるようになりました。ただし、totraを利用する場合は、事前にバス事業者の窓口で購入する必要があります。

totraの特典

totra利用者には、以下の特典があります。

交通ポイントサービス: 地域内交通の利用で運賃の2%分のポイントが自動付与。ポイントが運賃を超えた場合は自動で使用。
乗り継ぎ割引: 地域内交通と路線バス、またはライトレールの乗り継ぎで、2回目の運賃が200円割引。
上限運賃制度: 宇都宮市内の路線バスで、日中時間帯のICカード利用による運賃上限が400円（小学生、障がい者は200円）

宇都宮市の主な地域内交通

清原さきがけ号

清原地区で運行されている定時定路型の路線バス。地域住民で組織された運営協議会が運営。

運行形態: 定時定路型
利用制限: なし
料金: 1回150円、定期券2000円、回数券1000円
歴史: 2008年1月15日に試験運行開始、同年8月1日から本格運行

とよさとまほろば号

豊郷地区で運行されているデマンド型の乗合タクシー。アサヒタクシーが受託運行。

運行形態: デマンド型
利用制限: 事前登録制
料金: 1回300円（地域外目的地によっては加算あり）
歴史: 2017年3月1日から本格運行

ひらり号

平石地区で運行されているデマンド型の乗合タクシー。泉タクシーが受託運行。

運行形態: デマンド型
利用制限: 事前登録制
料金: 1回300円（地域外目的地によっては加算あり）
歴史: 2017年3月1日から本格運行

篠井はるな号

篠井地区で運行されているデマンド型の乗合タクシー。泉タクシーが受託運行。

運行形態: デマンド型
利用制限: 事前登録制
料金: 1回300円（地域外目的地によっては加算あり）
歴史: 2012年11月1日から本格運行

よこかわいきいき号

横川地区で運行されているデマンド型の乗合タクシー。アサヒタクシーが受託運行。

運行形態: デマンド型
利用制限: 事前登録制
料金: 1回300円（地域外目的地によっては加算あり）
歴史: 2013年12月1日から本格運行

かみかわち愛のりユッピー号

上河内地区で運行されているデマンド型の乗合タクシー。泉タクシーが受託運行。

運行形態: デマンド型
利用制限: 事前登録制
料金: 1回300円（地域外目的地によっては加算あり）
歴史: 2008年10月1日から本格運行

さぎそう河内号

河内地区で運行されているデマンド型の乗合タクシー。アサヒタクシーが受託運行。

運行形態: デマンド型
利用制限: 事前登録制
料金: 1回300円（地域外目的地によっては加算あり）
歴史: 2015年4月1日から本格運行

おでかけちゅんちゅん号

雀宮地区で運行されているデマンド型の乗合タクシー。雀タクシーが受託運行。

運行形態: デマンド型
利用制限: 事前登録制
料金: 1回300円（地域外目的地によっては加算あり）
歴史: 2014年10月から本格運行

わくわくとみや号

富屋地区で運行されているデマンド型の乗合タクシー。泉タクシーが受託運行。

運行形態: デマンド型
利用制限: 事前登録制
料金: 1回300円（地域外目的地によっては加算あり）
歴史: 2013年11月1日から本格運行

くにもとふれあい号

国本地区で運行されているデマンド型の乗合タクシー。泉タクシーが受託運行。

運行形態: デマンド型
利用制限: 事前登録制
料金: 1回300円（地域外目的地によっては加算あり）
歴史: 2012年10月1日から本格運行

みずほの愛のり号

瑞穂野地区で運行されているデマンド型の乗合タクシー。

運行形態: デマンド型
利用制限: 事前登録制
料金: 1回300円（地域外目的地によっては加算あり）
歴史: 2012年4月1日から本格運行

城山孝子号

城山地区で運行されているデマンド型の乗合タクシー。関東交通が受託運行。

運行形態: デマンド型
利用制限: 事前登録制
料金: 1回300円（地域外目的地によっては加算あり）
歴史: 2018年3月10日に対象エリアを拡大

板戸のぞみ号

板戸地区で運行されているデマンド型の乗合タクシー。関東交通が受託運行。

運行形態: デマンド型
利用制限: 事前登録制
料金: 1回300円（地域外目的地によっては加算あり）
歴史: 2010年4月1日から本格運行

清南スマイル号

清原南部地区で運行されているデマンド型の乗合タクシー。アサヒタクシーが受託運行。

運行形態: デマンド型
利用制限: 事前登録制
料金: 1回300円（地域外目的地によっては加算あり）
歴史: 2017年6月より試験運行開始

石井地区の地域内交通

石井地区では、新4号バイパスを境に東西で異なる運行形態を採用しています。西側は定時定路の「ぐるっと石井号」、東側はデマンド型の「スマイル石井号」が運行。

ぐるっと石井号: 定時定路型、1回150円
スマイル石井号: デマンド型、1回300円（地域外目的地によっては加算あり）
歴史: 2020年4月1日より試験運行開始

あの町この町号

明保地域で運行されている定時定路型の乗合タクシー。陽西タクシーが受託運行。

運行形態: 定時定路型
利用制限: なし
料金: 1回150円
歴史: 2023年6月4日より試験運行開始

関連項目

宇都宮市#交通
きぶな号
上河内代替バス
デマンド型交通
宇都宮ライトレール

外部リンク

地域内交通 宇都宮市
「石井地区内地域内交通の試験運行」について 宇都宮市
地域内交通「はるな号」 篠井ニュータウン

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