稚泊連絡船

稚泊連絡船の歴史と航路概要

稚泊連絡船（ちはくれんらくせん）は、1923年から1945年まで日本の鉄道省によって運航されていた鉄道連絡船です。この航路は北海道の稚内と樺太の大泊を結び、その間の距離は約167km、営業キロでは210kmに及びました。

航路の特徴と運航状況

当初、稚内から大泊までの所要時間は約8時間でした。1928年には、運賃が一等7円50銭、二等5円、三等2円50銭であったことが記録されています。冬季には宗谷海峡が流氷で閉ざされるため、砕氷[[船]]が使用され、厳冬期には旅客や貨物を氷上で取り扱うこともありました。稚内からの航路は宗谷本線の優等列車と接続するダイヤを組まれ、1938年以降、稚内桟橋駅という仮乗降場が設けられ、列車が直接船に接続できるようになりました。また、大泊側にも大泊港駅が新設され、樺太東線との接続が確立されていました。

沿革

稚泊連絡船の運航が開始される前は、樺太との交通は複数の港を通じた命令航路によって行われていました。しかし、国有鉄道の宗谷線が稚内まで直通したことで、鉄道省による新たな連絡線、すなわち稚泊連絡船が設けられました。

• - 1922年11月1日：宗谷線が稚内駅まで延伸開業。
• - 1923年5月1日：最初の航路が開設され、壱岐丸が初航。
• - 1924年7月25日：壱岐丸が砕氷[[船]]に改造され、2船体制で運航を開始。
• - 1931年2月2日：大寒波による流氷により壱岐丸が難航、5月11日をもって運航休止。
• - 1945年8月24日：ソ連軍の侵攻を受け、航路が消滅。

船舶の開発

稚泊連絡船では、時間や運航条件に応じて様々な船が運用されました。壱岐丸は1931年に運航を終了し、その後は対馬丸が就航しましたが、これも流氷により擱座し沈没しました。亜庭丸や宗谷丸もそれぞれの時期に活躍し、最終的に宗谷丸が1945年の航路消滅まで運航されました。

大泊と稚内の接続

航路開設当初は、連絡船が大泊駅近くで直接接続できる岸壁がなかったため、連絡船自体は岸から離れたところで待機していました。1928年には新たな桟橋が建設され、大泊駅からのアクセスが改善されました。これにより、連絡船と駅の間に臨港線が敷設されることとなり、利便性が向上しました。

現在でも、当時の稚泊連絡船の航路に関連する記念碑や構造物が残っており、北海道と樺太を結ぶ重要な役割を担った歴史的な航路として今なお多くの人々に記憶されています。

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