定豪

定豪（じょうごう）

定豪は、平安時代末期から鎌倉時代前期にかけて活躍した真言宗の僧侶です。生年は仁平2年（1152年）で、没年は嘉禎4年9月24日（1238年11月2日）。彼の父は五位蔵人であり、民部権少輔を務めた源延俊でした。

経歴の概要

定豪は康承4年（1180年）、仁和寺にて忍辱山流の祖である寛遍から伝法灌頂を受けます。彼は文治元年（1185年）に34歳で法橋に任じられるまで、多くの試練を経験し、必ずしも僧侶として恵まれた立場ではありませんでした。このため、時期は不明ですが源頼朝がいた鎌倉に下り、建久2年（1191年）には鶴岡八幡宮の供僧に就任します。その2年後には宿老僧の一人となります。

正治元年（1199年）には神護寺を継承した性我の後継者として勝長寿院の別当に任命されます。そして、建仁2年（1202年）には51歳にして法眼に昇進しました。

鶴岡八幡宮における活躍

承久2年（1220年）1月、当時の鶴岡八幡宮の別当であった慶幸が急逝し、第6代目の別当に就任します。この任命により、彼は八幡宮の実権を掌握し、翌年9月に辞任した後も影響力を維持しました。さらに承久の乱が起こると、彼は鎌倉幕府のための祈祷を行ったことで、評価され、熊野三山検校などの称号を授与され、この事が鎌倉幕府の仏教界への本格的な関与の先駆けとなりました。

鎌倉幕府との関係と権力の確立

定豪の成功は普段の楽な生活や恵まれた環境から生まれたのではなく、鎌倉幕府との強い結びつきと、朝廷の安定を願う意向が背景にありました。また、彼は九条家や久我家との連携を通じて、仁和寺御室の道深法親王との継承を巡る争いにも参画し、野心的な姿勢を見せました。

その後も定豪は鎌倉を拠点に活動しつつ、必要に応じて京都に上がる生活を続けます。嘉禄元年（1225年）には東寺三長者に任じられ、従来の定員を超えて強引に新たなメンバーを加えて任命されました。その後、彼は二長者に昇進し、安貞2年（1228年）には東大寺別当に就任しますが、文暦元年（1234年）には将軍九条頼経の正室の御産祈祷の失敗の責任を取り、東大寺別当や東寺二長者の地位を辞します。

晩年と遺産

嘉禎元年（1235年）には大僧正に任じられ、嘉禎2年（1236年）には九条道家の推挙により東寺長者の最上位に昇進し、85歳での任命は当時の最高齢記録となりました。嘉禎3年（1237年）には四条天皇の護持僧となり、同年には東寺の権力を駆使して、厳格な審査を乗り越えた上で15粒の仏舎利を受領する等、その影響力は大いに強化されました。しかし、87歳という高齢で京都にて亡くなりました。

定豪の生涯は、彼自身の信念を持ちながらも、鎌倉幕府との関係や当時の朝廷の動向を巧みに利用することで、多くの権力を手にした宗教者としての姿が浮き彫りにされています。また、彼の活動は後の僧侶にとっても重要な一つのモデルとなり、真言宗の発展に寄与したと考えられます。

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