宝達山

宝達山（ほうだつさん）

石川県の中央部に位置する宝達山は、羽咋郡宝達志水町、かほく市、河北郡津幡町、富[[山県]]氷見市、高岡市にまたがる標高637.1mの山です。能登半島最高峰であり、その豊かな自然と歴史が魅力です。

概要

宝達山の名前は、江戸時代に金山として栄えたことに由来すると伝えられています。この山は「宝達山水源の森」として水源の森百選にも選ばれており、豊かな自然環境が保たれています。

山頂にはかつて「山の龍宮城」という休養施設がありましたが、老朽化と地盤の陥没により閉鎖、解体されました。現在は新しい休憩施設の建設が計画されており、完成までの間、山頂駐車場ではキッチンカーによるコーヒー移動販売が行われています。

宝達志水町は、旧施設の近くに無人の新しい休憩施設を建設する予定です。

自然

宝達山は、薬草の宝庫としても知られており、オウレン、マタタビ、キハダ、センブリなどが豊富に自生しています。また、クズや自然薯も多く産出されます。

山腹には、広葉樹の二次林や人工のスギ林が広がっています。かつては周辺の村落の共有地でしたが、過剰な伐採により荒廃したため、各集落が土地を分担して植林を行うようになりました。

山頂付近には、自然林に近いブナ林が約440本あります。1950年には、金沢大学の正宗厳敬教授によってオオアカバナの種子が採集されましたが、その後報告がなく絶滅したと考えられています。

地質

宝達山の山頂付近から北部にかけては、船津花崗岩類の宝達山花崗岩が見られます。石川県内では珍しい花崗岩で、自然金や黄鉄鉱、蛍石など、さまざまな鉱物が産出されます。

特に宝達山の蛍石は、正八面体で緑色の美しい形状が特徴です。また、月長石流紋岩も見られます。

宝達山の山体は崩れやすく、大量の土砂を供給するため、源流である宝達川下流には天井川トンネルができるほどの扇状地が形成されました。

資源

宝達山北部では、自然金、黄鉄鉱、蛍石などの鉱物資源が産出され、鉱業が盛んに行われていました。これらの資源は、宝達山花崗岩を母岩としています。

山麓の金山は、1584年に開山し、1628年までに採掘されました。その後、金の採掘が衰退したため、鉱夫たちは堤防や用水路の工事に従事するようになりました。彼らは宝達者と呼ばれ、辰巳用水や宝達川の堤防工事に携わったとされています。

応用地質

石灰岩

宝達地区の北谷では、飛騨帯の晶質石灰岩が露天掘りで採掘されていました。明治時代から昭和初期にかけて盛んに採掘され、最盛期には年間10,000〜20,000トンの石灰が生産されました。

蛍石

宝達山北麓に分布する宝達山花崗岩を母岩とする蛍石は、淡緑色で正八面体、弱蛍光などの特徴があります。

第二次世界大戦中には10トン、昭和20年には70トン産出された記録があります。

硫化鉄

宝達地区の北谷では、飛騨変成岩帯の石灰岩の中から硫化鉄の鉱脈が発見され、昭和20〜25年にかけて鉱業が行われていました。

石灰質砂岩

山崎地区では、肥料用などの用途で石灰質砂岩が採掘されていました。

宝達葛

宝達山では、金山で働く鉱夫の非常食や漢方薬として葛が生産されました。宝達葛は幕末には幕府に献上され、明治時代には羽咋郡の特産品として全国に知られました。現在も「宝達葛友の会」によって生産が続けられています。

紋平柿

紋平柿は宝達山麓に自生する渋柿で、江戸時代に野村家が広めたとされています。現在は宝達志水町やかほく市などで栽培され、特産品の一つとなっています。

アクセス

石川県道・富[[山県]]道75号押水福岡線と宝達志水町東間からの林道が利用できます（一部冬季閉鎖）。

関連情報

宝達志水町
水源の森百選
* 水源林

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