実業学校令

実業学校令の概要

実業学校令（じつぎょうがっこうれい）は、1899年（明治32年）2月7日に公布され、同年4月1日に施行された日本の教育に関する重要な勅令です。この令は近代日本における中等教育機関である実業学校を定義し、特に産業界の拡大に伴い必要とされる技術者や専門的な人材の育成を目的としていました。

背景

19世紀末、日本の産業は急速に発展し、それに伴って実用的な技術を持った人材の養成が重要視されるようになりました。これに対応する形で、実業学校令が制定され、教育環境を整備するための道筋が作られたのです。

実業学校の主な特徴

実業学校令によって、従来の不統一な実業学校の運用方法が統一され、明確な基準が設けられました。依然として官立の学校には適用されなかったものの、設置者には地方自治体や私立の団体も含まれました。特に、設置や廃止に関する認可は、文部大臣や地方長官が行うことが定められています。

学校の種類

実業学校令で規定された実業学校には、次のような種別が含まれます。

• - 工業学校（徒弟学校を含む）
• - 農業学校（蚕業、山林、獣医、水産に関する学校も含む）
• - 商業学校
• - 商船学校
• - 実業補習学校

これらの学校は、対象分野に応じた専門的な教育を提供することが求められました。

教科書と授業料

教科書については、公立学校では学校長が、私立学校では設立者が地方長官の認可を受けて決定します。また、授業料は徴収することが可能であり、運営資金を確保する重要な手段となっていました。

主要な改正

実業学校令は、制定後も数回の改正が行われました。1903年には、専門学校令の公布に伴い、実業専門学校の設立が規定され、範囲が拡大しました。また、1920年には、学校の理念に「徳性の涵養」が追加され、設置団体に商工会議所や農会などの公共団体が認められるようになりました。さらに、職員の名称や待遇も中等学校に準拠することとされました。

最終的な廃止

1943年の中等学校令が施行されることで、実業学校令は廃止され、新たな教育体制が確立されました。これにより、実業学校令の歴史は幕を閉じましたが、当時の教育制度が、その後の教育機関の発展に寄与したことは間違いありません。

まとめ

実業学校令は、日本の教育史の中で産業界に特化した人材を育成するための重要な枠組みを築き上げました。実業学校の設立や運営に関するルールを整えたことにより、近代日本の産業発展に寄与したと言えるでしょう。このような教育制度の設計は、当時の社会のニーズに応え、後の日本の教育制度にも大きな影響を与えています。

もう一度検索