室伏高信

室伏高信 - 評論家・著述家

室伏高信（むろふせ こうしん、1892年5月10日 - 1970年6月28日）は、日本の著名な評論家および著述家として広く知られています。神奈川県に生まれた彼は、明治大学の法科を中退し、若くしてジャーナリズムの道へと進みました。彼のキャリアは、やがて政治記者としての活動や、欧米への外遊を含む多岐にわたるものでした。

人物背景と経歴

室伏は、二六新報、時事新報、朝日新聞で政治部の記者としてキャリアを積んだ後、第一次世界大戦後に雑誌『改造』の特派員として欧米を訪問します。1920年の12月27日、彼は横浜港を出発し、アメリカに渡りました。約1ヶ月の滞在の後、大西洋を渡ってロンドンに滞在し、さらにベルリン、パリ、ジュネーヴへと移動します。結局、1921年末に日本に帰国しました。ニューヨークでは在米日本人社会主義者団を訪れ、団員に日本料理を振る舞うなどの交流を行い、片山潜の自伝を改造社に売り込むなど、彼の活動は多岐にわたりました。

1919年3月には個人雑誌『批評』を創刊し、1920年12月には外遊直前に第22号をもって廃刊となりますが、1922年4月には刊行を再開します。しかし、再度廃刊となるのは同年11月号のことでした。1934年から1943年にかけては、雑誌「日本評論」の主筆を務め、多くの論考を発表しました。

思想の変遷

室伏は、満州事変以後、国粋主義思想を強く持ち、第二次世界大戦を支援する立場を取りました。しかし、戦後には公職追放を受け、新生社を設立し雑誌『新生』を発刊し始めます。この時期には、憲法研究会のメンバーが多く寄稿するようになりました。彼は戦争中の仲間たちとの関係を変え、戦後には彼らに対して厳しい批判を行ったことから、オポチュニストとしての側面が指摘されています。彼の思想の変遷は、当時の社会状況を反映したものであったと言えるでしょう。

政治活動と選挙

室伏は、1930年と1946年の衆議院議員選挙に立候補しましたが、いずれの選挙でも落選しました。このように、ジャーナリストとしての彼の活動に加え、政治家としても活動したことは、彼の多彩な側面を示しています。彼の甥である室伏哲郎も知名度の高い人物です。

主な著作

室伏高信の著作には、1926年に出版された『亞細亞主義』や、中公文庫から発行された『戦争私書』があります。さらに、1940年に訳したアドルフ・ヒトラーの「我が闘争」もあります。その作品群は、彼の思想の発展や当時の政治情勢を理解するための重要な資料となっています。

室伏高信は、激動の時代において影響力を持った文化人であり、彼の著作や思想は現代にも多くのことを教えてくれます。

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