九条兼晴

九条兼晴

九条兼晴（くじょう かねはる）は、江戸時代前期の公卿で、九条家第二十代の当主として知られています。

生涯

寛永18年（1641年）に、鷹司教平と冷泉為満の娘の間に三男として誕生しました。兄には鷹司房輔、三宝院門跡の高賢、弟には大乗院門跡の信賀、随心院門跡の俊海がおり、妹には江戸幕府五代将軍である徳川綱吉の正室・鷹司信子や、霊元天皇の中宮・鷹司房子（新上西門院）がいます。

正保4年（1647年）に九条道房が亡くなった際、実子がなかったため、道房の娘である待姫の婿養子として九条家を継承しました。ただし、幼少であったため、養祖父である九条幸家が後見人となりました。

同年10月15日に元服し、翌正保5年（1648年）1月15日に従三位左近衛中将に任じられました。承応元年（1652年）10月12日には正三位に叙せられ、11月30日には権中納言に任じられます。承応2年（1653年）7月20日には、幸家と共に花町宮良仁親王（後の後西天皇）の江戸下向に同行し、承応3年（1654年）12月18日に権大納言に任じられました。

承応4年（1655年）1月5日に従二位に叙せられ、明暦2年（1656年）12月26日に橘氏是定、万治2年（1659年）1月13日には左近衛大将に任じられ、12月22日に正二位に昇叙。寛文4年（1664年）5月2日には内大臣、翌寛文5年（1665年）3月6日には右大臣を経て、寛文11年（1671年）5月7日に左大臣に就任しました。

文化人との交流も深く、京狩野の画家である狩野永納は、兼晴の兄弟である高賢や俊海の下に出入りして注文を受けていました。寛文6年（1666年）2月には高賢の依頼で『十二ヶ月花鳥図』を描き上げて納品し、俊海にも絵を献上した記録が残っています。兼晴自身も永納と交流があり、同年4月4日には永納が兼晴の前で花鳥の扇5枚を描いた記録が残されています。また、次男の綱平が二条光平の養子になった関係で、綱平と親しかった尾形光琳の作品『孔雀立葵図屏風』が九条家に伝わった背景には、綱平と兼晴の父子関係があったと考えられています。

延宝5年（1677年）11月12日、37歳で薨去。法号は後往生院。

系譜

父：鷹司教平
母：冷泉為満の娘
養父：九条道房
妻：待姫（九条道房の娘）
男子：九条輔実（1669-1729）
家女房
男子：二条綱平（1672-1732）（二条光平養子）
生母不明の子女
男子：住如（1673-1739）（西本願寺寂如養子）

参考文献

野島寿三郎編『公卿人名大事典』日外アソシエーツ、1994年。
小和田哲男『日本史諸家系図人名辞典』講談社、2003年。
久保貴子『後水尾天皇 千年の坂も踏みわけて』ミネルヴァ書房（ミネルヴァ日本評伝選）、2008年。
橋本政宣編『公家事典』吉川弘文館、2010年。
五十嵐公一『近世京都画壇のネットワーク 注文主と絵師』吉川弘文館、2010年。
* 五十嵐公一『京狩野三代 生き残りの物語 山楽・山雪・永納と九条幸家』吉川弘文館、2012年。

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