富山県道318号笹津安養寺線

富山県道318号 笹津安養寺線

富山県道318号笹津安養寺線は、日本の富山県富山市域に位置する一般県道です。この路線は、富山市の南部、特に笹津地区から安養寺地区にかけてを南北に縦断しています。路線の特筆すべき点は、主要幹線である国道41号（越中東街道）とほぼ全線にわたって近接・並行していることです。この地理的な関係から、本路線は国道41号の混雑を緩和し、富山市中心部と大沢野地域間の交通を円滑にするための、いわば「裏道」や補助的なバイパスとして重要な機能を果たしています。

本路線の成り立ちは非常にユニークです。その現道の大部分は、かつて富山市と南部の笹津方面を結んでいた富山地方鉄道笹津線という鉄道路線の廃線跡地を活用して建設されました。県道としての認定自体は1967年（昭和42年）3月20日と比較的歴史がありますが、鉄道廃線後の本格的な道路整備を経て、現在の形である全線が開通したのは1996年（平成8年）8月30日のことです。特に、この時に完成した富山市安養寺から当時の大沢野町上大久保までの約3.6キロメートルの区間が、廃線跡の道路化を象徴する部分と言えます。この全線開通により、地域の交通利便性は大きく向上しました。

路線の詳細なデータを確認します。起点は富山県富山市笹津にあり、ここで国道41号と接続します。終点も同様に国道41号に接続しており、場所は富山市安養寺中島割です。路線の総延長距離、すなわち実延長は約10,364メートル、およそ10.4キロメートルに及びます。道路構造は2車線で、車道幅員は8.5メートル、両側にそれぞれ2.5メートル幅の歩道が整備されており、合計幅員は13.5メートルです。この幅員は一般県道としては比較的広く、車両通行に加え、歩行者や自転車の安全性も考慮されていることが分かります。路線の整備にかかった総事業費は約30億円と報告されています。

沿革においては、1967年の認定から1996年の全線開通まで約30年の期間があり、この間に段階的に整備が進められたことがうかがえます。特に、廃線跡地の転用という性質上、用地取得や工事には時間を要したと考えられます。

路線が通過する自治体は、起終点を含め一貫して富山県富山市です。富山市南部の大沢野地区を中心に、市街地と郊外を結ぶ形で通過していきます。

接続する主な道路は多岐にわたります。起終点およびバイパス区間では、重要な並行路線である国道41号（越中東街道）と接続・交差します。また、富山県道341号八尾大沢野線（富山市高内）、富山県道193号坂本長附線（富山市上大久保）、富山県道183号大沢野大山線（富山市上大久保六区東）といった県道とも接続しています。さらに、富山県道340号二松上大久保線（上大久保4区交差点～北新町交差点）や、富山県道35号立山山田線（下大久保3区北交差点～下大久保（四区）交差点）とは一部区間で重複しています。県道35号は、本線のほか、下大久保3区北交差点から富山市安養寺に至るバイパス区間でも接続しています。

沿線は、富山市南部の生活基盤が集積する地域です。交通施設としては、路線の近くにJR高山本線の笹津駅があります。公共性の高い施設としては、富山県警察富山南警察署、富山市役所大沢野総合行政センター、富山市消防局大沢野消防署などがあります。教育機関も多く、富山県立富山高等支援学校、富山市立大沢野中学校、興南中学校、大沢野小学校、大久保小学校などが立地しています。地域の経済活動を支える金融機関の支店も複数点在し、商業施設としてはキョーエイ、クスリのアオキ、アルビス、コメリといった店舗が見られます。また、シキボウや日本カーボン、北陸電気工業といった企業の工場や本社も沿線に位置しています。自然やレクリエーション関連では、富山県総合運動公園が近く、また神通川や熊野川といった河川が沿線を流れています。

このように、富山県道318号笹津安養寺線は、旧鉄道跡を活用したユニークな経緯を持つ路線であり、富山市南部の交通を支え、地域住民の生活や産業活動に深く関わる重要な役割を担っています。

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