富岡車両基地

富岡車両基地：台湾鉄道の近代化を象徴する巨大基地

富岡車両基地（ふこうしゃりょうきち）は、台湾桃園市楊梅区に位置する台湾鉄路管理局（台鉄）の車両基地および車両工場です。台湾では「富岡機廠」とも呼ばれます。この基地は、かつて台北市信義区にあった台北機廠と、新竹市にあった新竹機務段の機能を統合する目的で建設されました。2013年1月に開設され、台北機廠の移転先として機能しています。台北機廠は、現在では「富岡機廠」と正式に改称されています。

基地の概要

2005年に行政院で計画が承認され、2009年に台鉄は、台北機廠と北区供応廠、新竹機務段の移転先として、総面積52ヘクタールにも及ぶ大規模な車両基地の建設を決定しました。建設費は133億台湾ドルに達しました。2010年には北湖駅と基地への分岐線が着工し、老朽化が進んでいた台北機廠の設備と比較して、大幅な自動化、省人化、電脳化が導入されました。これにより、作業環境の効率化、安全性向上、近代化が実現し、太陽光発電や風力発電を備えた環境に優しい施設となっています。

基地の構成

富岡車両基地は、以下の4つの主要エリアで構成されています。

1. 台北機廠区：三・四級検修（年単位の重検査）を行います。
2. 北区供応廠場区：資材工場として機能します。
3. 新竹機務段場区：一・二級検修（数日～数ヶ月単位の通常検査）を行います。
4. 自然生態園区：治水と灌漑用の溜め池を備えた緑地帯で、基地全体の30%を占めています。また、鉄道文化園区も造成中です。

2013年1月に第一期として車両工場部分が供用開始されました。構内の信号システムは台湾京三製作所が担当しています。2014年末には台北機廠の移転が完了し、周辺地域は観光スポットとしての整備も進められています。また、台鉄の捷運化（都市鉄道化）に伴い、通勤駅として北湖駅が、基地職員用として富岡基地駅（後に新富駅に改称）が設置されました。

2018年4月には新竹機務段の本段が当基地に移転し、旧本段は南新竹機務分駐所となりました。

配属

配属については、新竹機務段#配属を参照してください。

基地にまつわる逸話

基地周辺は、客家人が信仰する「大伯公」の土地公廟がある地域で、かつては「伯公崗」と呼ばれていました。車両基地の建設前には、地域住民が祀る太上老君、魯班、土地神の神体像と廟がありました。住民の反対があったものの、台鉄との協議により、仮移転を経て基地完成後に元の場所に戻す協定が結ばれました。

基地稼働後には、設計上の問題や廟への動線に対する不満が噴出しました。また、開設から半年足らずでEMU500型電車が落下する事故が発生し、労働組合からは安全対策への不安が表明されました。周辺住民からは、相次ぐ不運を土地公廟の移転と関連付け、祟りであるという噂が広まりました。

台鉄は法会を行い、土地公の怒りを鎮めようと試みたほか、基地の安全祈願のシンボルとして、EMU100型電車の中間車を安置することを決定しました。2017年末に発表され、2018年には内装改造が行われ、2019年には土地公廟が開廟されました。鉄道車両が神仏の安置場所として選ばれるのは、台湾では初の試みです。

出典

台湾鉄路管理局公式サイト
関連ニュース記事

関連項目

台湾鉄路管理局
台北機廠
新竹機務段
台湾鉄路管理局EMU100型電車
穴守稲荷神社#羽田空港に残された一の大鳥居

外部リンク

臺鐵 富岡車輛基地簡介 - YouTube
客家新聞雜誌 第336集 火車來到伯公岡 - YouTube
臺鐵富岡車輛基地─現代化維修機廠 財団法人中華顧問工程司

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