小室浅間神社 (富士吉田市大明見)

小室浅間神社

小室浅間神社は、山梨県富士吉田市大明見に鎮座する神社で、古くは阿曽谷宮守神社と呼ばれていました。全国に数多く存在する浅間神社の一つであり、「大明見小室浅間神社」「北東本宮小室浅間神社」「富士山北東本宮小室浅間神社」といった別名でも知られています。現在の御本殿は桃山時代の建築で、歴史的価値も高い建造物です。

歴史

神社の創建は、崇神天皇6年（紀元前92年）に阿曽谷神社を鎮祭したことに始まります。その後、富士山の噴火を鎮めるために応神天皇の第二皇子が宮守を司り、阿曽谷宮守神社と改称されました。さらに、崇峻天皇2年（589年）には厩戸皇子（聖徳太子）が訪れ、富士山元宮阿座眞明神と改称したと伝えられています。

江戸時代の貞享3年（1686年）には、現在地である大明見村字新屋敷（現在の富士吉田市大明見二丁目）に遷座し、それまでこの地で祀られていた福地八幡大神社を合祀しました。旧社地である大明見村字古屋敷（現在の富士吉田市大明見一丁目）には、旧社（古宮）の石祠が祀られています。

国主や領主からの崇敬も厚く、寛文9年（1669年）には谷村城主の秋元但馬守から、宝永3年（1706年）には松平甲斐守から社領が献納されました。

明治時代に入ると、明治5年（1872年）に大明見村の村社となり、明治42年（1909年）には神饌幣帛料供進神社に指定されました。また、明治15年（1882年）には有栖川宮熾仁親王から御神号と御神鏡を賜り、明治19年（1886年）には「北東本宮小室浅間神社」と改称しました。なお、この「小室浅間神社」という社号は、現在の冨士御室浅間神社の旧称であり、それぞれ「阿曽谷宮守神社」は小室浅間神社に、「小室浅間神社」は冨士御室浅間神社に社号を改称しました。

明治16年（1883年）には、宮司家である宮下家に秘匿されていた『宮下文書』（『富士古文書』・『富士古文献』）が公開され、注目を集めました。

御祭神

小室浅間神社では、以下の神々が祀られています。

木花開耶姫命（このはなさくやひめのみこと）
誉田別命（ほんだわけのみこと）
国狭槌命（くにさつちのみこと）
泥土煮命（ういじにのみこと）
上筒男命（うわつつのおのみこと）
他13柱

境内社

境内には、護國神社（大明見護國神社）が祀られています。

文化財

境内には、市の指定天然記念物である「大明見浅間神社のコナラ」があります。このコナラは、1994年2月1日に指定されました。

現地情報

本宮所在地: 山梨県富士吉田市大明見2丁目1-1 (富士吉田市大明見148)
古宮所在地: 山梨県富士吉田市大明見1丁目36 (富士吉田市大明見字古屋敷)

宮下文書

宮司家である宮下家に伝来する古記録・古文書は、『宮下文書』（または『富士古文書』『富士古文献』）として知られています。これらの文書は、古代史研究において重要な資料となっています。

参考文献

『北東本宮小室浅間神社』由緒
MARUBI（富士吉田市歴史民俗博物館だより）No.15、2000年9月30日号、7頁、ふじさんミュージアム（富士吉田市歴史民俗博物館）

関連項目

冨士御室浅間神社
冨士山下宮小室浅間神社

外部リンク

* 小室浅間神社、山梨県神社庁

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