小山長村

小山長村（おやま ながむら）は、鎌倉時代中期に活躍した武将であり、鎌倉幕府の御家人でした。下野国（現在の栃木県）を拠点とする有力豪族・小山氏の4代当主として、その名を歴史に刻んでいます。父は小山朝長、母は中条家長の娘という家系に生まれました。

寛喜2年（1230年）に家督を継承し、小山氏の当主となりました。『吾妻鏡』には、安貞2年（1228年）5月10日の条に、流鏑馬の射手を務めた記録が初出として残されています。この記録からもわかるように、長村は弓矢に非常に優れており、鶴岡八幡宮の馬場で行われる儀式でも射手を務めるなど、その腕前を披露していました。

建長から弘長年間にかけては、将軍・宗尊親王の鶴岡八幡宮参詣において、頻繁に供奉人を務めていたことが記録されています。これは、長村が幕府から厚い信頼を得ていたこと、そして重要な役割を担っていたことを示唆しています。

また、長村は一族の供養にも尽力しました。建長2年（1250年）3月28日には、祖父にあたる下野入道生西（小山朝政）の十三年忌供養を執り行っています。一族の霊を慰め、その冥福を祈ることは、当時の武士にとって重要な務めの一つでした。

同年12月28日には、伊勢の守藤成以来、長村まで16代にわたって相伝してきた下野国大介職をめぐる問題が発生しました。大神宮雑掌の訴えによって大介職が改補されることになったのです。しかし、長村はこれに対し、自らの正当性を主張し、幕府に愁訴しました。その結果、評議によって長村に大介職が返却されるべきであるという結論に至りました。この一件は、長村が家 traditionと自身の権利を守るために、毅然とした態度で臨んだことを物語っています。

文永6年（1269年）、小山長村は生涯を閉じました。彼の死後も、小山氏は下野国における有力豪族として勢力を保ち続けました。長村の時代は、鎌倉幕府が徐々に衰退に向かう時期であり、社会情勢も不安定でした。そのような時代において、長村は小山氏の家督を守り、一族の繁栄に貢献しました。彼の功績は、小山氏の歴史において重要な位置を占めています。

参考文献

荒川善夫 編著『下総結城氏』戒光祥出版〈シリーズ・中世関東武士の研究 第八巻〉、2012年10月10日。ISBN 978-4-86403-069-4。
『吾妻鏡必携』 関幸彦・野口実編 吉川弘文館、2008年。

外部リンク

* 『小山長村』 - コトバンク

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