小山朝政

小山朝政（おやまともまさ）

小山朝政は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての武将であり、有力御家人として知られています。小山氏の二代目当主として、下野国寒河御厨（現在の栃木県小山市周辺）を本拠地とし、源頼朝の挙兵時からその幕府を支えました。

生涯

出生と出自

小山朝政は、久寿2年（1155年）頃に、小山政光の子として誕生しました。父・政光は武蔵国の太田氏の出身で、下野国に移住して小山氏を名乗りました。また、朝政の母は八田宗綱の娘であり、源頼朝の乳母である寒河尼でした。

源平合戦での活躍

治承4年（1180年）、源頼朝が平氏打倒の兵を挙げると、朝政はすぐに参じました。同年10月には、母である寒河尼が実子の結城朝光とともに頼朝のもとに参じ、朝政もそれに続いたと考えられています。

寿永2年（1183年）、平氏が鎌倉を襲撃するという噂が流れた際、朝政は駿河国にいました。その最中、常陸国の志田義広が兵を挙げて下野に侵攻し、鎌倉を攻めようとしました。頼朝は、下野にいた朝政に対応を託し、弟の長沼宗政らを援軍として派遣しました。志田義広は朝政を味方に引き入れようとしますが、朝政はこれを欺き、野木宮に兵を伏せて奇襲をかけました。朝政は矢を受けて落馬しますが、宗政と共に志田義広を打ち破りました（野木宮合戦）。この勝利を頼朝に報告した朝政は、志田義広に味方した武士たちの所領を没収し、恩賞を得ました。

元暦元年（1184年）、朝政は源範頼に従い、平氏追討のため京に向かいました。その際、朝政は兵衛尉に任官されました。元暦2年（1185年）、範頼らと共に九州に渡り、壇ノ浦の戦いで平家が滅亡すると、朝政は頼朝から内挙なしに任官したとして帰国を禁じられます。しかし後に許され、鎌倉での源義朝の法要に参列しました。その後、頼朝が上洛する際に、朝政は先駆けとして活躍しました。

奥州合戦

文治5年（1189年）、頼朝は藤原泰衡を討つために奥州に出陣し、朝政もこれに従軍しました。下野国の宇都宮社に参拝した際、朝政の父・政光が頼朝に食事を献じました。その席で、政光は朝政兄弟や猶子の宇都宮頼綱に、武功を立てるように命じました。朝政は阿津賀志山の戦いで藤原国衡を破り、玉造郡物見岡では泰衡を追い詰めました。泰衡は逃亡しましたが、残った郎党を討ち果たし、奥州合戦を勝利に導きました。

幕府宿老としての活躍

建久元年（1190年）冬、頼朝の上洛に随行し、石清水八幡宮への参拝では行列の先頭を務めました。また、頼朝が右近衛大将に拝賀する際には、随兵として供奉しました。朝政は、これまでの功績により右衛門尉に任ぜられました。建久3年（1192年）には、野木宮合戦での功績により常陸村田下庄の地頭に補任され、左衛門尉に転じました。建久5年（1194年）には、頼朝が朝政の家を訪問し、流鏑馬の作法について語り合った記録が残っています。正治元年（1199年）、朝政は梶原景時を訴える連署状に名を連ね、播磨守護に補任されました。建仁元年（1201年）には、大番役で在京中に城長茂の襲撃を受けましたが、難を逃れました。

元久2年（1205年）、幕府から義兄弟の宇都宮頼綱が謀反を疑われた際、朝政は頼綱を追討することを拒否しました。承久3年（1221年）の承久の乱では、宿老として関東に留まりました。貞応2年（1223年）には検非違使を兼任し、嘉禄元年（1225年）には下野守に任じられましたが、翌年には辞任しました。天福2年（1234年）には出家し、法名を「生西」としました。

嘉禎4年（1238年）3月30日、84歳で亡くなりました。病を患ってから間もなかったと伝えられています。墓所は埼玉県加須市大越の徳性寺にあり、市の史跡に指定されています。

年表

（年表は省略）

文化において

小山朝政は、以下のテレビドラマで描かれています。

草燃える（1979年、NHK大河ドラマ） - 大河内稔が演じました。
鎌倉殿の13人（2022年、NHK大河ドラマ） - 中村敦が演じました。