小崎道雄 (牧師)

小崎 道雄（こざき みちお）

小崎道雄（1888年11月16日生 - 1973年6月18日没）は、日本のキリスト教界において、牧師、神学者、そしてエキュメニカル運動の指導者として多大な貢献をした人物です。父は日本組合基督教会の重鎮であった小崎弘道。

生涯と学び

1888年、父・弘道の任地であった東京府に生を受けました。翌1889年には、同志社大学創設者としても知られる新島襄から幼児洗礼を受けました。学問の道を進み、麻布中学校、第八高等学校を卒業後、1912年に渡米します。アメリカでは、まずオベリン大学で学び、その後、コロンビア大学で国際法と社会学を修め、イェール大学神学部で神学を深く学びました。異文化の地で幅広い分野にわたる学識を習得し、帰国後の活動の礎を築きました。

霊南坂教会での奉仕と要職

帰国後の1922年より、長く日本組合基督教会霊南坂教会に仕えました。当初は伝道師として働き始め、1924年には按手礼を受け副牧師となります。1931年には同教会の主任牧師に就任し、1961年まで約40年間にわたりその職を務め、教会の発展に尽力しました。霊南坂教会の牧師を務める傍ら、日本のキリスト教界における様々な要職を兼任し、そのリーダーシップを発揮しました。

戦時下の活動

戦時色が濃くなる中、小崎は日本基督教連盟の中心メンバーとしてエキュメニカル運動を推進しました。1940年に挙行された皇紀二千六百年奉祝全国基督教信徒大会では副委員長を務め、その式辞で、日本のキリスト教がこの国の歴史と国体の下に発展してきたことへの感謝や、東亜における日本の指導的立場に対するキリスト教徒の責任、信仰の重要性などを述べました。この大会は、当時の国家的な潮流の中で、キリスト教徒が国民としての務めを果たす姿勢を示す場となりました。

太平洋戦争開戦直前の1941年4月には、遣米平和使節団の一員として阿部義宗、賀川豊彦らと共にリバーサイドで開催された日米キリスト者会議に出席しました。ここでは、日本の教会合同運動の現状や、国民儀礼とされていた神社参拝問題について説明を行いました。また、設立が予定されていた日本基督教団が、日本政府の圧力によるものではなく、アメリカの母教会からの自発的な独立を目指すものであることを強調し、長年の支援に対する「アメリカ教会への感謝状」を贈呈しました。

戦後キリスト教界の再建と国際的な活動

1941年には成立した日本基督教団で統理者代行、出版局長、東亜局長などを務めました。終戦後、1946年には富田満に代わり、戦後初代の日本基督教団総会議長に選出され、1954年までその重責を担いました。戦後の日本のキリスト教界を再建する上で中心的な役割を果たします。

また、1948年に日本基督教連盟の後継組織として発足した日本キリスト教協議会（NCC）では初代議長に就任し、戦後のエキュメニカル運動を牽引しました。同年にはアムステルダムで開催された世界教会協議会（WCC）の設立総会に日本代表として出席し、日本の戦時中の教会の状況などについて説明を行いました。この総会において中央委員に選出され、その後13年間にわたり世界の教会間の連携強化に貢献しました。

教育分野への貢献と晩年

キリスト教学校教育にも深く関わり、1950年には初代学校法人横須賀学院理事長に就任し、10年間務めました。さらに、1954年からは桜美林学園の第2代理事長として、1973年に死去するまでその職を務めました。温厚な人柄で知られ、ビキニ環礁での核実験への反対運動に参加するなど、国際的な平和活動にも関心を示しました。1961年には長年仕えた霊南坂教会の名誉牧師となりました。

1973年6月18日、脳軟化症のため世を去りました。その墓所は東京都の青山霊園にあり、一部は多磨霊園にも分骨されています。

主な経歴

1941年 - 1946年：日本基督教団統理者代行
1946年 - 1954年：日本基督教団総会議長
1948年 - 1959年：日本キリスト教協議会議長
1954年 - 1973年：桜美林学園第2代理事長

参考文献

土肥昭夫『日本プロテスタント・キリスト教史』新教出版社
古屋安雄『日本の神学』ヨルダン社

関連資料

* 原誠「小崎道雄所蔵資料についての紹介と解説」同志社大学神学部（<研究ノート>）

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