小川台古墳群

小川台古墳群について

小川台古墳群は、千葉県山武郡横芝光町小川台に所在する古墳群です。九十九里浜中央部の栗山川中流東岸の舌状台地上に位置し、前方後円墳5基、円墳12基、方墳1基で構成されています。この古墳群は、古代のこの地域における権力者の存在や社会構造を考察する上で、重要な手がかりとなります。

発掘調査と出土品

1974年に行われた発掘調査では、1号墳から5号墳までの計5基の古墳が調査されました。特に、1号墳と5号墳からは多数の遺物が出土しています。

1号墳: 鉄剣4振、鉄鉾1点、鉄鏃4点、鉄製刀子1点、滑石製有孔円板10点、臼玉39点、鉄鏃3点、鉄斧1点、滑石製臼玉151点以上が出土しました。これらの遺物は、古墳時代の武器や祭祀具、装飾品を示すものです。
5号墳: 後円部頂の木棺からは、大刀5振、刀子1点、鉄鏃1点、鐙に伴う兵庫鎖、瑪瑙製勾玉1点、ガラス製小玉42点が出土しました。また、墳丘や周溝からは、大量の円筒埴輪とともに、人物埴輪、馬形埴輪、鹿形埴輪、にわとり形埴輪、水鳥形埴輪などの動物埴輪、そして家形埴輪などの形象埴輪が発見されました。これらの埴輪は、古墳の祭祀や儀式を物語る上で、非常に重要な資料です。特に、形象埴輪列は、墳丘の一定区画内に配置されていたと考えられています。

人物埴輪の特徴

5号墳から出土した人物埴輪は、双脚挂甲武人像、双脚男子像、座る女子像、壺を頭に載せる女子像など、計15点が確認されています。性別が判明しているのは14点で、男子9体、女子5体です。これらの人物埴輪は、千葉県内で最も古いものとされています。造形は無骨ですが、衝角付冑や挂甲、髷など、細部まで忠実に表現されています。特に双脚挂甲武人像と双脚男子像は、台座を設けず直接地面に足をつけている点が特徴的で、類似例が少ない貴重な資料です。

古墳の造営時期

古墳の造営時期は、出土品から推測されています。1号墳の副葬品から5世紀代、5号墳の埴輪から5世紀末から6世紀前半の年代が推定されています。4号墳からは7世紀末から8世紀初頭の須恵器が出土しており、古墳時代終末期の方墳であると考えられています。これらのことから、小川台古墳群は長期間にわたって造営された古墳群であることがわかります。

まとめ

小川台古墳群は、千葉県における古墳時代を研究する上で、非常に重要な遺跡です。出土した遺物や埴輪は、当時の社会や文化、人々の生活を知る上で欠かせない資料となっています。特に、人物埴輪は、当時の人物像を具体的に知ることができる貴重な存在です。今後も、小川台古墳群の研究が進むことで、古代の歴史がさらに解明されることが期待されます。

参考資料

大塚初重・小林三郎・熊野正也編『日本古墳大辞典』 東京堂出版、1989年。
『千葉県の地名（日本歴史地名大系 12）』平凡社、1996年。
原島礼二・金井塚良一 編 『東国と大和王権』 吉川弘文館、1994年。

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芝山古墳・はにわ博物館 展示紹介 小川台5号墳

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