小松みどり (1891年生)

小松みどり：日本の銀幕を彩った女優の生涯

小松みどり（1891年9月9日 - 1982年10月26日）は、日本の長寿女優として知られています。本名は谷喜久。東京府東京市小石川区（現在の東京都文京区）に生まれ、姉は同じく女優として活躍した中川芳江です。幼少期から日本舞踊を学び、舞台役者としてのキャリアをスタートさせました。

華麗なるキャリアの幕開け：舞台から映画へ

5歳の頃から坂東流の日本舞踊を習い始めた小松みどりは、1911年、姉と共に新派の劇場である真砂座に参加。翌年には舞台デビューを果たします。1915年には松竹合名から招かれ、京都の大正座で活躍。その後、1919年に設立された国際活映に入社し、本格的に映画界へ進出します。国際活映巣鴨撮影所、角筈撮影所で数々の作品に出演。特に角筈撮影所の開所第1作である『短夜物語』への出演は、彼女のキャリアにおける重要な出来事でした。

関東大震災と松竹、日活での活躍

1923年の関東大震災後、小松みどりは松竹下加茂撮影所へ入社。賀古残夢監督作品で澤村四郎五郎と共演するなど、着実に実績を重ねていきます。1925年には日活京都撮影所第一部（時代劇部）へ移籍。時代劇を中心に活躍し、数々の名作に出演します。

大映時代と晩年

1941年の大映設立後も同社に所属し、戦後も女優として活動を継続しました。1951年と1953年の『キネマ旬報』によると、当時大映京都撮影所では社員俳優として所属し、いわゆる大部屋女優として活躍していました。1960年代まで出演を続け、73歳を迎えた1964年に引退。その後も京都市等持院地区で生活を送り、1982年に91歳で亡くなりました。

膨大なフィルモグラフィ：多様な役柄を演じ分けた才能

小松みどりは、国際活映、松竹、日活、大映と数々の映画会社に所属し、実に多くの作品に出演しました。彼女のフィルモグラフィは実に膨大であり、その中には時代劇から現代劇まで、様々なジャンルの作品が含まれています。 役柄も多岐に渡り、主演を務めた作品から、脇役まで幅広く演じ、その高い演技力は多くの観客を魅了しました。以下、主な出演作品をリストアップします。このリストには、東京国立近代美術館フィルムセンター（NFC）が所蔵するプリントの現存状況も可能な限り記します。

国際活映

『血潮の鳴門』：共演五味国太郎・酒井健三
『短夜物語』：監督細山喜代松
『尼僧になるまで』：監督田村宇一郎
『悲しき旦』：共演葛木香一・小池春枝 - 主演
『一つの花』：製作・配給帝国キネマ演芸 - 主演

松竹下加茂撮影所

(以下、監督は全て賀古残夢監督 unless otherwise noted。配給は全て松竹キネマ)
『日蓮小町』
『由井正雪』
『鐘の鳴る日』
『お辰の死』
『心中重井筒』
『敵討恋の捕物 お藤の夫』
『鋸の辰』
『冬木心中』：監督枝正義郎 - 叔母お政
『次郎長外伝・大瀬半五郎』
『牡丹燈籠』 - 女中お米
『高山彦九郎』
『柳生又十郎』：監督吉野二郎
『祐天吉松』
『日光の円蔵』：監督吉野二郎
『高野長英』
『千代竜』：監督大久保忠素
『難波の福』：監督大久保忠素
『実説 河内山宗俊』：監督枝正義郎
『白菊の歌』：監督清水宏

日活京都撮影所

(以下、多くの作品において、製作は日活大将軍撮影所または日活京都撮影所第一部、配給は日活)

(詳細なフィルモグラフィーは省略しますが、日活時代には時代劇を中心に多数の作品に出演しています。)

大映京都撮影所

(以下、多くの作品において、製作は大映京都撮影所、配給は大映)

(詳細なフィルモグラフィーは省略しますが、大映時代も多くの作品に出演し、晩年まで女優として活躍しています。)

小松みどりの足跡：日本の映画史に刻まれた功績

小松みどりは、明治から昭和にかけての日本の映画史において重要な役割を果たした女優でした。舞台から映画へと活躍の場を広げ、時代劇から現代劇まで幅広い作品に出演。大部屋女優として数々の作品を支えた彼女の存在は、日本の映画界に欠かせないものだったと言えるでしょう。彼女の生き様と作品は、これからも日本の映画史に語り継がれていくことでしょう。

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