小柳冨次

小柳冨次 (こやなぎ とみじ)

小柳冨次（1893年7月16日 - 1978年4月23日）は、日本の海軍軍人であり、最終階級は海軍中将でした。

経歴

新潟県豊栄市（現在の新潟市北区）出身。小柳杢次の長男として生まれました。新発田中学校を経て、1914年12月に海軍兵学校（42期）を卒業。翌年12月に海軍少尉に任官されました。海軍水雷学校高等科で学び、「槇」乗組、「第7号駆逐艦」（松風）水雷長などを歴任し、1926年11月、海軍大学校（甲種24期）を卒業。

その後、第3戦隊参謀、「若竹」艦長、海兵教官、第2水雷戦隊参謀、海軍水雷学校教官、海軍省教育局第2課局員、第1駆逐隊司令、海大教官、「磐手」艦長、第8駆逐隊司令、水雷学校教頭、「愛宕」艦長などを歴任し、「金剛」艦長として太平洋戦争を迎えました。

太平洋戦争では、ミッドウェー海戦、ガダルカナル島のヘンダーソン基地艦砲射撃、南太平洋海戦などに参戦。1942年11月に海軍少将に進級し、第2水雷戦隊司令官、第10戦隊司令官などを歴任しました。1944年10月、第2艦隊参謀長として参加したレイテ沖海戦において乗艦「愛宕」沈没時に戦傷を受け、重傷のため翌月に連合艦隊司令部付となりました。その後、横須賀鎮守府付、水雷学校長などを歴任。日本の降伏後、1945年10月には海軍軍法会議裁判長として厚木航空隊事件の審議に当たりました。翌11月に海軍中将となり、同月、予備役に編入されました。

1947年11月28日、公職追放の仮指定を受けました。

戦後の調査・著述活動

戦後、小柳は海軍の歴史研究に尽力しました。1945年10月24日には、米国戦略爆撃調査団によるレイテ沖海戦に関する質疑に応じ、第一遊撃部隊（栗田艦隊）の作戦行動について詳細な陳述を行いました。

1946年4月から9月にかけては、海軍の先輩である鈴木貫太郎、米内光政、野村吉三郎らを訪ねて聞き取り調査を実施。これらの面会録は、後に日本史研究者によって発見され、貴重な資料となっています。

さらに、海軍将校の親睦団体「水交会」嘱託として、1956年から5年間、約50人の旧海軍幹部に取材を行い、その成果は『小柳資料』として刊行されました。これは、当時の海軍関係者の証言をまとめた貴重な一次資料として、戦史研究に重要な貢献をしています。

また、以下の著書を著し、海戦史研究に貢献しました。

『太平洋海戦史論』弘文堂〈アテネ文庫〉 1950年
『レイテ沖海戦』弘文堂〈アテネ文庫〉 1950年
* 『栗田艦隊』潮書房 1956年

小柳冨次は、軍人としての経歴に加え、戦後の地道な調査・著述活動を通じて、太平洋戦争における海戦の実態を後世に伝える上で重要な役割を果たしました。

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