小栗満重の乱

小栗満重の乱について

小栗満重の乱は、応永29年（1422年）から応永30年（1423年）にかけて、北関東で発生した大きな反乱です。この乱は「小栗氏の乱」とも呼ばれ、その後の歴史に影響を与えました。当時の元号に由来して「応永の乱」とも称されることがありますが、同名の反乱が他に存在するため、小栗満重の乱という名称が一般的に使用されています。

小栗満重の経歴

室町時代中期に、常陸真壁郡小栗御厨を治めていたのが小栗満重という武将です。彼の所領は関東にありながら、室町幕府の御料所と近接しており、早い段階から幕府との連携を図っていました。しかし、応永23年（1416年）の上杉禅秀の乱において満重が禅秀側に味方したため、戦後に鎌倉公方の足利持氏に所領を一部没収されてしまいます。この出来事が、満重の心に大きな恨みを残しました。

それ以降、彼は応永25年（1418年）および応永28年（1421年）にかけて、鎌倉府に対して対抗的な行動を示すようになります。そして、ついに応永29年（1422年）、宇都宮持綱や桃井宣義、真壁秀幹と共に反乱を起こしました。彼らは一時的に下総結城城を奪取するなど、大きな勢いを見せました。しかし、この反乱は次第に長引くこととなり、持氏はその動向を危惧して応永30年（1423年）に自ら大軍を率いて出征しました。その結果、反乱軍は瞬く間に崩壊し、満重は居城の小栗城で自ら命を絶つこととなりました。

この反乱においては、山入氏や大掾氏も関与していたとされ、満重の挙兵には室町幕府の思惑があったのではないかとも指摘されています。つまり、持氏が自ら兵を率いて出陣した背景には、幕府との権力闘争があったとされています。

小栗判官伝説

小栗満重は、歴史的な武将というよりも、伝説の中で語り継がれる人物としても知られています。江戸時代には人形浄瑠璃や演劇を通じてその名が広まり、特に小栗落城後の物語が人気を集めました。この伝説では、満重が実は死なずに脱出し、相模の横山大膳のもとに身を隠すことが描かれています。横山の娘である照手姫との恋愛関係も物語のキー要素となります。

しかし、横山は満重を裏切り、毒酒を盛って宴会を企てます。結果、満重はその場で死ぬはずでしたが、奇跡的に生き残りました。彼はその後、僧侶によって助けられ回復し、再び常陸に戻り、横山を討って照手姫と結ばれるという物語は、彼の英傑としての姿を強調し、後世にも深く影響を与えました。

反乱後の動向

小栗氏は、常陸に居を構える武士でありながら、室町幕府の征夷大将軍と直接の関係を持つ京都扶持衆として活動していました。満重が鎌倉公方である足利持氏に対抗し続けた背景には、幕府の影響があったといわれています。この自体は、持氏にとっても見せしめの意味を持つ行為であったため、幕府と持氏の関係はさらに緊張を増すこととなりました。

持氏の謝罪により一時的に事態は収束しましたが、幕府と持氏との対立は継続し、その後の永享の乱の原因ともなります。やがて永享の乱の末に持氏が自害した後、小栗満重の子孫は旧領荘の復帰を果たすものの、さらなる王子の攻撃を受けて果たして小栗御厨を失うことになります。

その後、満重の子孫の一人は出家し、宗湛として知られるようになり、足利義政の絵師として活躍することとなりました。小栗満重の乱は、当時の権力構造や武士たちの生き様を物語る重要な出来事として、今日に至るまで広く語り継がれることとなっています。

もう一度検索