宗湛

宗湛（そうたん）

宗湛（1413年 - 1481年）は、室町時代中期の画僧であり、水墨画家です。相国寺の天章周文に水墨画を師事し、京都の多くの寺院で障壁画を手がけ、当時の代表的な画家として知られています。雪舟の後を継いで室町幕府の御用絵師に任命され、周文の正統な後継者として、中国水墨画家の牧谿（もっけい）の画風をよく取り入れたことから「自牧」という別号を与えられました。「宗丹」とも書かれ、字は小二郎（または小三郎）といい、小栗満重の子として生まれました。

生涯

武将・小栗助重として

宗湛は、もともと常陸小栗氏の出身で、小栗助重（おぐり すけしげ）という名の武将でした。常陸小栗氏は、鎌倉府（鎌倉公方）の管轄国内の武士でありながら、室町幕府の征夷大将軍と直接主従関係を結ぶ京都扶持衆の一つでした。応永30年（1423年）に小栗満重が鎌倉公方・足利持氏に対して反乱（小栗満重の乱）を起こして没落しましたが、その持氏が永享の乱を起こして自害した後、結城氏朝がその遺児（足利春王丸・足利安王丸）を擁して挙兵（結城合戦）した際、満重の子または弟（前者が有力）である助重がこの戦いで武功を立て、旧領への復帰を許されて家督を継承しました。しかし、康正元年（1455年）に享徳の乱の最中に持氏の遺児（春王丸・安王丸の弟）である足利成氏の攻撃を受け、本貫地である小栗御厨荘（現在の茨城県筑西市）を失い、その後出家して宗湛入道と号しました。

画僧・宗湛として

出家後、宗湛は相国寺に入り、同寺で画僧周文に水墨画を学びました。寛正3年（1462年）、京都相国寺松泉軒の襖絵を描いたことで室町幕府8代将軍足利義政に認められ、翌寛正4年（1463年）には周文の後を継いで足利将軍家の御用絵師となりました。その後、中央漢画界の権威として、高倉御所・雲沢軒・石山寺などで襖絵を作成しています。文明5年（1473年）頃までの作画の記録は残っていますが、宗湛の作品として現存するものは少なく、子の宗継が完成させた旧大徳寺養徳院の襖絵「芦雁図」六面の内二面のみが確認されています。周文が高遠山水を得意としたのに対し、宗湛の作品は平遠山水を特色としています。また、狩野元信の師でもありました。

代表作

芦雁図（京都国立博物館）重要文化財
伝宗湛作品
花卉草虫図（陽明文庫）
山水図（出光美術館）
山水図（個人蔵）

脚注

関連項目

常陸小栗氏
小栗判官
小栗満重

参考資料

金沢弘『日本の美術334 水墨画 如拙・周文・宗湛』至文堂、1994年
『鎌倉・室町人名事典』（新人物往来社）より「小栗宗湛」（関幸彦執筆）

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